「インドのメロドラマの本気とその先。」パッドマン 5億人の女性を救った男 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
インドのメロドラマの本気とその先。
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因習にとらわれたインドの女性のために、安価な生理用ナプキンの生産と普及に努める男“パッドマン”の実話をベースにしたサクセスストーリーだが、ジャンルをひとつに限定することができない貪欲さはインド映画ならでは。本作もコメディ、社会派ドラマ、メロドラマが複雑に絡み合っている。面白くて楽しくて、それでいて胸を打つ感動作として傑作認定した上で言及しておきたいのが、この映画のメロドラマとしての秀逸さだ。
この映画のラストで、主人公とヒロインは別れる選択を迫られる。お互いに身を引かなくてはならないと納得した上であるだけに、切なさもひとしお。そしてこの映画の凄みを感じたのが、ふたりの別れが、主人公が成功へと駆け上がるハッピーなエンディングと同時進行であること。社会的にも認められ、故郷に錦を飾り、愛妻も取り戻した。映像も音楽も幸福感に満ちているが、観客には二人が犠牲にしたものの大きさがしっかりと感じられるのだ。憎い。巧い。このラスト、たまんねえな。
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