「社会へのメッセージ」パッドマン 5億人の女性を救った男 ふろずさんの映画レビュー(感想・評価)
社会へのメッセージ
この作品、主人公の考えや活動に理解を示し協力をするキャラクターは、医大生や大学教授など教育を受けた人々であることに注目した。教育は大事。社会を変えるのは教育だけど、きっかけは教育を受けていない主人公であった。主人公は妻への思いやりからタブーへ足を踏み入れた。思いやりが社会を変えた。
調べたところ、インド女性のナプキン使用率はまだ100%ではなかった。しかし昨年7月、女性の生理用品にかけられていた12%の課税を撤廃すると政府は発表した。確実にインド社会は変化をしている。パッドマンの願いが達成することを心の底から祈っている。
以下とめどない感想。
日本でも生理を不浄とみなす慣習はある。世間ではまず生理という話題は外で話す時には小声になるものだと思う。私自身も感覚的にタブーだと理解している。
しかし日本では優れた生理用品、痛みを抑える薬、病院にかかることで普段と変わらない生活を送ることができることが多くなりインドよりは行動を制限されることは少ないと思う。
勿論痛みは人によって違うし、体調に左右されるため前回は大丈夫だったけれども今回の生理では薬が効かなくて辛いということもザラにあり、完璧に生理のダメージから逃れられることはない。
本当に蛇足だが、あまりに痛くて病院にかかっても異常なしでひたすら投薬と生活習慣の見直しで閉経まで痛みに耐えなければいけない女性も存在する。
インドでは2001年時点でナプキンが高くて庶民が日常使いする物ではないので汚い布を使い(人目に触れるのを避けるため日光にさらさず乾かす)、生理中の女性は部屋に入れず、薬局に売っているナプキンは男性が買おうものならレジ下で禁制品のように手渡される。辛さや痛みがわかるのは女性だけで男性がそれに触れるのは失礼、恥、余計なお世話。宗教や村社会という要素も加わり、タブー感は日本の比ではない。劇中、ナプキンを衆人環視の中手渡された女性が泣き叫ぶシーンがあり一人の人間、しかも男性で常識外れのこともやる主人公が頑張っただけで変えられるのか?と不安になった。
後半、教育をバッチリ受けた優秀な女性パリーの助力を得て一気に主人公の活動は認められるのである程度安心して観てられるが、得られるはずの富をなげうってインド女性のナプキン使用率を上げたいと主張し実行する主人公の意志の強さにちょっと人間離れしたものも感じてそれがまた良かった。