「全国のヒロシくん、マサコさんに見てもらいたい!」jam kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
全国のヒロシくん、マサコさんに見てもらいたい!
3人の話が絶妙に錯綜するスピード感あふれる作品。演歌歌手横山田ヒロシは落ちぶれたアイドルといった雰囲気だが、熱狂的な中年女性から支持を得ている。中でも執着心が強すぎる雅子(筒井真理子)はヒロシに薬の入ったスープを飲ませ、自宅へと拉致監禁するのだ。ヒロシのポスターなどが貼りまくられた部屋に拘束し、マサコのための歌を明日のコンサートで歌わせようとするのだった。
流れ弾に当たり、意識を失ったままの恋人を救うために、神様のお告げにより1日3回の善い行いをするタケル。善行動の中心となるのは、高級車プレジデントを乗り回し、困ってる人を乗せてあげること・・・猫に道を譲るってのもあったけど、映像にはない。そんな彼が二組の男女を乗せるのだが・・・
そして出所したばかりのテツオが自分をハメた奴らに復讐するため金槌を持って殴り込みをかける話。
冒頭から派手なシーンがあり、どういうシチュエーションでこうなったのかを本編で説明してくれる(とは言っても偶然が重なっただけ)。3組の話の中ではヒロシとマサコの話が秀逸で、偏執的なファンの心理を見事に描いてあった。ホラーのような気配もあり、ザクロというアイテムなんてのが意味不明で面白い。また、この映画のために彼の曲を作ったのも大変だったと思うけど、「こんばんは、ありがとう」などの曲はどれも笑えるのだ。監禁したら、普通はもっとセクシャルな展開になるかとも思うのだが、そうはならないで、自分だけの曲を作らせるというへんてこりんな暴挙へと発展するのも面白い。
それぞれの思いが次の日に一気に交錯し、人命救助という大きな波に飲まれ込むストーリーなのですが、テツオだけはちょっと離れた位置になっていたのが残念。祖母の介護と祖父の登場という意外性はあったが、もう一波乱欲しかったところです(続編で解決か?)。