「壮大な時空旅行を終えたような余韻に包まれる」ポルトの恋人たち 時の記憶 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
壮大な時空旅行を終えたような余韻に包まれる
とても独創的な発想でポルトガルと日本の二つの都市が、そして登場人物の運命が、にわかに重なっていく。歴史は繰り返すと言われるが、この主人公たちはメビウスの輪のような物語の中で、果たしてその宿命から逃れることができるのか。
オリヴェイラのスタッフを擁した異国のシーンは、ここが一体どこなのか瞬時には判別できない不思議な浮遊感を醸し出す。その心境はおそらく観客も、はるばる連れてこられた主人公も全く同じだろう。そこから巻き起こるギリシア悲劇のような人間模様。登場する誰もが安易な出口へ逃げることなど許されないが、そのどうしようもない悲しみが「第2部」へと受け継がれていく様はとても流麗だ。
願わくば、そこからの展開にもっと驚きが欲しかった。ゆったりとした時間軸の中での繰り返しはピンと張り詰めた空気を緩ませる。とはいえ、鑑賞後はあたかも壮大な時空旅行を終えたかのような余韻が心地よく身を包む一作である。
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