「ハマる人にはハマる映画?」アルファ 帰還(かえ)りし者たち JNKさんの映画レビュー(感想・評価)
ハマる人にはハマる映画?
何も知らないより、ある程度人類史を知ってる方のほうが、面白いと思える映画かもしれません。
人間が現代までに生き残ってきた歴史において、キーワードとなってくるものが、たくさんぎゅっと詰め込まれていて、分かる人はすごく楽しめます。もちろん映画ですからファンタジーだし、服がきれい過ぎに見えるし、非科学的と評価する人もいますが、おそらく制作陣は相当調べて、人類の歴史の一部を描いてくれたのだと思います。
言語は、専門じゃないので詳しくはわかりませんが、推定復元されたインド・ヨーロッパ語族のようなものが話されていて、俳優さんたちもしっかり訓練を受けたのだと思います。原始時代の人間をサルと同じと思っている人もいるみたいですが、古い情報だとそういうイメージかも知れません。
まだ狩猟生活で農耕による大規模な定住生活ではなく、村単位の小さい集団で、血縁関係を重視・死者を魂を信じ・祖先を重んじる部分が描かれるなど、ヒトの初期集団形態だろうと考えられていることがしっかりと表現されています。
人類のイヌ科との共生関係はネコ科よりも早く、しかも狩猟において相互利益がありましたから、その点、もちろん映画ですから実際どういう形で出会ったかはわかりませんしファンタジーの表現ですが、こうだったら面白いなー位に楽しめます(一つだけ気になったのは、一度家族のもとに戻った狼アルファが、主人公ケダを助けたあとに、再びケダについていく動機が描かれていなかったので、どういう気持ちの変化があったのかわかりませんでした)。
その他にも、
・黒曜石をつかったナイフ、弓などの武器
・うじを使った腐肉除去と治療法
・薬草を使った炎症抑制
・結核?など感染症と人類との腐れ縁
・星をガイドに使った遠征
・剣歯虎、ケブカサイなど現代では絶滅した哺乳類
・常に死と隣り合わせの生存競争
などなど、挙げればきりがなく、教養のある方はもっと全然気付くことが多いと思います。
メインストーリーはシンプルですが、逆にこれが当時の生活感を表していて良いと感じますし、「生き残る」「次に伝える」ことが最重要な暮らしでしたから(スマホもパソコンも当時はありませんし)。細かいこと言えばあれ?と思う部分もありますが、映画ですし。
大衆向けではないかもしれませんが、他の方の評価を見て、こういうコメントする人はこういう評価なんだなーと思いました。
賛否あると思いますが、他にもこの映画に肯定的な人がいたらいいな。
