「秀逸なキャラ設定と、残念な構造と」えいがのおそ松さん ひよたかさんの映画レビュー(感想・評価)
秀逸なキャラ設定と、残念な構造と
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おそ松さん1期からのファンですが、この強いコンテンツを使って「最高」と言えないのが残念です。
18キャラの設定は素晴らしかった。さすが、あの無個性な六つ子に絶妙なキャラ付けしたセンスのスタッフ。高校生の六つ子が登場するたびに館内には笑いが。ここの面白さは「おそ松さん」の真骨頂だと思う。
けれど、映画としては残念な構造になってしまった。
まず「俺たちいつから大人なの?」という問いに、この映画が、答えを提示しなかったこと。「なんで俺たちこんなになっちゃったんだろうな」と忸怩たる思いを抱えた六つ子なら、何らかの答えを最後に出すべきだった。
もちろん、ニートでいけないということではないし、今の彼らを肯定することが着地点にはなるのだろうが、その答えへの道筋が「記憶にもなかった同級生女子からの肯定」というのはお粗末に感じた。
彼女の家へ向かう冒険はスリリングだったが、大人六つ子が18歳の自分たちへかける言葉も、それまでの絡みが足りず、唐突に思えた。
同級生女子の存在もうまく機能せず、浮いた存在になってしまった。
内気な彼女が六つ子を「面白くていいなあ」と見ていたのは微笑ましいが、ストーリーの牽引としてはあまりにも弱すぎる。せっかく心残りを追ってきたのに、手紙の内容を六つ子は聞くことができなかったし、何より「死」を感動のためだけに容易に用いた印象なのは残念。
とはいえ、多くのファンをいまだに惹きつけるコンテンツ。
話題性と、次の映画は「最高」といえるものになるよう、期待を込めての評価としました。
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