劇場公開日 2018年10月13日

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「綺麗なのか汚いのか」ブルー・マインド Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5綺麗なのか汚いのか

2022年2月28日
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多くの映画賞を受賞したことで知られる本作は、カミングエイジ・ホラーという聞き慣れないジャンル分けがされた。エイジは年代を表す言葉だが、主人公のミアは子どもから大人へ成長していく年頃の女の子だ。転勤族と思われる父に振り回される苛立ちや不安、性への興味、大人の階段を登る過程での期待や恐怖など、誰もが経験した難しい時期である。それを紛らわすかのように、ジョアンナというクラスでも目立つ(スクールカーストの上位というべきか)人物と親しくなった事で、更に悪い行いが加速していく形である。それと同時に、足の指がくっつくという謎の現象が体に発生し、体の変化が大きくなる毎にミアの行動もエスカレートしていく。

透き通るような映像に、自然光を利用した描写の数々はかなり好みだが、映像的に考えると、嘔吐やゴミ、違法薬物、未成年の飲酒や喫煙という画的には汚いものが多く登場する。それらがギャップを生み、不思議な感覚を味わうことが出来るのかも知れないが、駅の地べたで寝てみたり、食い散らかしてそのままにしていたり、遊び歩いてシャワーも浴びずに寝てたりと、観ているこちらが風呂に入りたくなる。また、女性監督という事もあってか、性描写が男性目線というか、キツめの描写になっているのだが、これは女性から見た性交渉の嫌な部分を描いているのだろうか。

その後ミアの異変はやがてとんでもない結末を迎えるのだが、最後まで支えてくれたのがなんと言おうジョアンナだ。最初こそ「仲間に入りたいならパシリからだ」や「イタイ女」と罵っていたものの、それが熱い友情に変わったところはグッと来るものがある。ここら辺の友人らのバッグボーンや、両親との関係性等の我々が観ていてどうしても気になるような所は描かれておらず、最後まではっきりしないままエンドロールを迎える。あえて一人称にすることで、よりミアが抱えたあらゆる感情に柔軟に共感できる要になる工夫がされているのだろう。ストーリーは大した内容でもないが、あまり語られない分、観客がそれぞれ考察して観るイメージのため、どこか引き込まれる不思議な作品となっていた。北欧の不思議な作品を楽しみたい方にはぜひ。

Mina