「理性なき世は真っ暗くら闇」マイ・サンシャイン りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
理性なき世は真っ暗くら闇
様々な理由で両親と暮らせない子どもたちを育てている黒人ホストマザーのミリー(ハル・ベリー)。
隣家に住む白人男性オビー(ダニエル・クレイグ)は、短気な癇癪持ち。
彼らが暮らすLAサウスセントラルは不穏な空気が流れている。
というのも、スピード違反で捕まった黒人男性が複数の警察官から暴行を受けたというロドニー・キング事件の裁判のさ中、近所のスーパーで万引き犯と誤認された黒人少女が射殺されたという事件も起きていたからだ・・・
というところから始まる物語で、その後、ロドニー・キング事件の加害者警官たちが無罪となってLA暴動が勃発する。
暴動に巻き込まれた主人公とその子どもたちが描き出されていくさまは緊張緊迫の連続なのだけれど、こういう映画が観たかったわけではなかった。
LA暴動は背景で・・・とあくまで背景で留めてほしく、とにかく、のべつ幕無し流れるテレビ映像はロドニー・キング事件裁判を伝えるニュース映像、途中途中に差しはさまれる風景はロサンゼルスの空撮に溶岩かなにかが流れる映像がオーバーラップしたもの、流れる音楽は重低音・・・
不安煽られっぱなしで、もうやめて!という感じ。
いやまあ、当時のLAがそうだったのかもしれないが、とにかくツライ。
そこへ巻き込まれる黒人少年と黒人少女の物語なんだが、どうもこうも遣る瀬無い。
遣る瀬無いというよりも短絡的。
いやまあ、暴動なような理性なき世になっちゃったら、こんなことになるのかもしれないが・・・
救いもへったくれもない、ということなのか。
理性なき世は真っ暗くら闇、そんな中でもあかりを見出したいという意味で付けられた日本タイトルだろうけれど、遣る瀬無くなってしまうねぇ。