「生きると言うこと」マイ・サンシャイン むっしゅさんの映画レビュー(感想・評価)
生きると言うこと
厳しい世相の中を生きるハル・ベリー扮する主人公の家族ドラマがメインで、それに隣人であるダニエル・クレイグが深く関わってくる優しい映画と思いきや、ロス暴動がストーリーの全体を主導。暴動に翻弄される家族それぞれの生き様が大きな見所となった力強い作品でした。
なんでもない日常が、抗えない流れの中で心までもがもみくちゃにされていく。止められない。守れない。黒人がどうとか白人がどうとか、そういうのを越えた精神性の深さを考えさせられました。
特に駐車場で2人に銃を向けた白人警官が胸の内を吐露する描写が印象に残ります。バーガーキングの店主が「火を付けたらみんなハンバーガーが食べられなくなる」と必死で訴える姿も印象的。
盗み殴り罵り・・・そもそもこんな世の中に誰がしたのか。銃を持つことの怖さが理解できないのか。身近で当たり前のような犯罪の中で普通に生きるって、それも小さな子供までもが。
銃の音を聞いたこともない平和な日本人には、やっぱりよその国の他人事として「映画」として鑑賞し、怖いね、大変だねって語るだけで終わる。それ以外には何もできない。でも知ってはおきたい、おくべき事実。胸に刺さる作品。
コメントする