「未体験ゾーンの映画たち…じゃなかった」イット・カムズ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
未体験ゾーンの映画たち…じゃなかった
この様な映画のレビューを見る人にはもはや説明不要の"未体験ゾーンの映画たち"。本作は未鑑賞だったのだが、2023年位のラインナップに入っていると思っていた。開始45分で1度視聴を止め、スマホで"未体験ゾーンの映画たち作品一覧"と検索してみた。
…無い。どこにも無い。確かあったはずなのに…。結局、「ドント・イット」等の「IT/イット それが見えたら、終わり」の亜流作品扱いされている作品群に混じり、勘違いをしていたらしい。近頃増えた、「イット〜」とか「ドント〜」等の便乗商法にやられた訳だ。
何故視聴中にそんなのを調べたかと言うと、めっっったくそ面白くないのである。気が付くと流れてる安っぽいBGMに、緊迫感など微塵も無い演出、センスのない説明不足サスペンス。75分間自分は何をしていたのだろうと茫然である。金持ちのボンボン兄弟がそれぞれ女の子を船内に連れて来たのだが、お互い「居ると思って無くて」という偶然の重なり合いで全員が顔を合わせてしまう。ボンボン2人の家族は超巨大企業であり、他の会社と合併の話が出ているのだが、どうやらその会社らは環境の破壊を積極的に行うそうで、作中では"超極悪企業"と紹介されている。ジェシー・メトカーフ演じる主人公が実はそれの裏の決定的証拠を探るべく、誰も居ないと思って船内に侵入し、結局は鉢合わせの様になり、バレてからは整備士と名乗って何食わぬ顔で皆と行動を共にする…という形でこの何でもないシーンが40分以上続くので、非常に退屈に感じる。上手くやれば面白く出来そうな作品だが、間の悪い演出と、破綻寸前の脚本、滲み出るチープさにゲンナリである。劇場未公開の作品の恐ろしさを久しぶりに思い出した。時折ポンコツ作品もある“未体験ゾーン"のラインナップだが、これを配給する強者はそうそう居ない。逆に違くて良かった位だ。
結局バケモノが居るのだが、船が故障で止まってしまい、助けを求めて近くの島に上陸をし、そこで謎の研究施設を発見するなど、分かりやすいストーリーになるはずが、どうでも良い所に時間を割いている為、ちっとも話が入ってこないのである。結局はボンボンの家系の会社が元凶であり、主人公が調べていたのは恐らく"それ"。このシーンも普通は第三者から直接理由と共に説明があるはずだが、無言で何かの資料を見ているシーンでは本人と製作陣しかはっきりと分かる訳がない。その説明を省いて未公開作品に良くある合っているのか合っていないのか分からないBGMが永遠流れ…という無駄なシーンが多過ぎるのである。また、本作には近年稀に見る衝撃が1つある。それが
ラストの唐突さだ。思わず「えっ?」と声に出してしまったが、クライマックス撮影中に上手く収拾できずにドン詰まり、途中でもういいや、止めた!となったとしか思えない、素人が撮ったようなオチを迎えるのだ。何か食べてて途中で取り上げられた様な悲しい気持ちになる。それらトンデモZ級大作が好きな人は是非お勧めしたい。