ラストレターのレビュー・感想・評価
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「ラストレター」のメッセージは伝わったか。
美しい余韻を残す作品である。恋心の描き方が巧みである。物語は高校時代と現在との二元で進行していく。高校時代の初恋はピュアで切なく瑞々しいものに、時を隔てて現在に蘇った初恋はピュアだけどおかしみがある。二つの時代の恋心を若い広瀬すずと森七菜と、ベテランの松たか子が魅力的に演じる。広瀬の安定感は相変わらず抜群だが、森の瑞々しい演技には心奪われる。手紙のやり取りが物語の中心にあるが、その行き違いで発生する気持ちのズレみたいなものが面白く描かれている。そのズレがラストで感動的なシーンにつながっていく所がとてもいい。「ラストレター」のメッセージも納得できる。 作品全体の雰囲気はとてもいいが、話の内容は疑問点満載で、少し気になるため若干評価は辛めになった。具体的に挙げると・・・ ・乙坂は同窓会で会ったのが、未咲ではなく裕里だと知っててなぜ分からないふりをしたのか。 ・乙坂が未咲と学生時代に交際することになったのは、いかなるいきさつがあったのか。 ・乙坂に告白した裕里との関係はその後どうなったのか、裕里の気持ちを後押ししたかに見えた未咲はその後どうしたのか。 ・未咲はなぜクズ男の阿藤と結婚したのか、母娘で暴力を受けながらなぜ別れなかったのか。 ・裕里が未咲と疎遠になったのはなぜか、お互いに相手を思いやる姉妹だったはずなのに。 ・未咲の自殺がそもそも疑問。可愛い一人娘を残して死ねるはずがないのでは。 ・別れた後に、乙坂が送り付けてきた小説「未咲」の原稿を、大切そうに何度も読む未咲の心情が理解不能。 細かいことは気にせずに、監督の描きたかった美しさだけを鑑賞すれば、とてもいい作品なのかもしれない。
心地良い透明感
キャストや手紙や一人二役など、「Love Letter」のピースが散りばめられた作品。 とてもわくわくするキャスティングですよね。 中山美穂と豊川悦司、二人をこんな形で再会させるのも何とも憎らしい。 そこに「四月物語」の松たか子、福山雅治、神木隆之介。 そして一人二役の広瀬すずと森七菜。 この二人の澄んだ感じが本当に素晴らしいんですね。 作品の透明感は、この二人から生まれてるんじゃないでしょうか。 本当、全編を通して心地良い風を入れてくれます。 二人の「普通な」芝居も良く、二役もとてもスムーズにできていたと思います。 それにしても監督は女性、特に少女の美しさを切る取るのが本当にうまいですね。 少し青みがかった映像もきれいで、田舎の自然美を見事に写しだしていました。 家の中のしっとりとした空気もとても良かったです。 作品はとてもゆっくりとした流れで、何だか水の流れのよう。 ただちゃんと緩急もついており、少女達のいたずらで流れは急に速くなります。 なので一辺倒な感じはありません。 間々に学生時代のカットを挟み込む構成も良かった。 思い出をとても大事にしている感じが伝わってきて、物語にスッと入り込みやすかったです。 脚本や設定などには所々「ん?」ってなったりもするんですが、そういったところも何だか「らしい」ですね。岩井監督ならでわって感じでしょう。 でもラストに近づくとそんな事はどうでも良くなってて、再びゆっくりとした流れになり静かに物語は終わります。 あえて泣かせようとする演出が無かったのも良かったですね。 鑑賞後にはふわっとした心地良さだけが残りました。 とても素敵な作品です。 また、岩井監督がメガホンを取ったもう一つの「ラストレター」、「チィファの手紙(2018)」も秋に日本公開だそうで、こちらも楽しみです。 それに劇中で出てくる小説も実際に監督が執筆しているようなので、こちらも出版される事を期待しています。
未来の幸せ、不幸、過去があってこそ
この監督の映画は初めてなのですが、キャスティングと内容が気になって観に行きました。 亡くなった姉と妹、似ていると思いました。 高校時代に誰よりも輝いていた姉は未来においてもそうなのか、そんな姉をもつ妹は結婚して子供もできて幸せなのかと思ったら、夫はなんとなくですが、トヨエツ演じる男に似ていない事もないなあと思ってしまいました。 未来において夢を叶える人もいればそうでない人もいる、現実は厳しい。 でも、あの時は楽しかった、嬉しかったという気持ちがあれば人は前を向いてこうという気持ちになれるんだと思わせてくれます。 トヨエツ演じる阿藤の台詞が辛辣です、真実なので何も言えない、ただ、聞くことしかできない乙坂、でも、女達も同じです。 映像も綺麗でロマンティックな気分に浸ってしまいました。
岩井監督の映像を堪能。
『Love Letter』以来25年ぶりに岩井俊二監督作品を映画館で鑑賞しました。 やはり映像は監督のこだわりが随所に現れていて、非常に楽しめました。 本作だけで捉えれば、果たしてここまで物語の筋を複雑にする必要があったのかな?と思わなくもなかったのですが、学生時代の記憶、手紙、文通といった要素を使って作品世界を構成する、という、『Love Letter』以降岩井監督が追求してきた主題の変化がうかがい知れて、一種感慨深いものがありました。 豊川悦司と中山美穂の共演という点でも、『Love Letter』との強い繋がりを感じます。ただこの二人、本作でも非常に人間味のある役どころだったので、もう少し物語に絡ませて欲しかったな、とも感じました。 改めて映像を映画館で観て、岩井監督の映像の美しさに心打たれました。 岩井監督の映像は、決して「きれいな風景を撮ったらきれいに撮れてしまった」といったものではなく、非常に細かい計算の上に成り立っています。 例えばホテルでのパーティーの場面、日陰を移動する場面など、それぞれ色味が異なるはずの映像で、あえて色味を調整しすぎず、できるだけその場の光を取り入れています。色味を調整しないと、昔のホームビデオのように場面ごとの映像的な一貫性がなくなってしまう危険性があるため、破綻をぎりぎりで回避するためには、かなり神経を使って個々の映像を調整していく必要があります(逆に調整しすぎると、場面ごとの光質が表現できなくなり、平板な映像になる)。岩井監督の一見自然に、美しい映像の背後にはこうした細やかな心遣いがあるんだな、と実感しました。 また、人物の顔に直射日光を当てない、という点についても徹底しています。木漏れ日の差し込む空間で、人物があちこちに動き回ったり、日差しの差し込む玄関の入り口に人物が佇む、といった情景でさえ、カメラの位置、画角、カット割りで人物の顔に光を当てず、最も肌が美しく映るように捉えています。これは神業だな、と感銘を受けました(二、三のやむを得ない例外はありましたが)。 本作鑑賞後、改めて『Love Letter』も見直したくなりました!
学生時代の宝物
前半、ちょっと笑ってしまうような会話がとても自然で、頷きながら観てました。 すずちゃんと七菜ちゃん二人の演技も自然で、布団の上でのシーンが微笑ましかったです。 「母の宝物です」 そこで、じーんときました。 手紙って良いなぁ♥️ 松さんが手紙を読み上げ、福山さんが届いた手紙を開くシーンでも、手紙を書きたくなりました。 私も高校生の時に文通していて、4年ちょっとで150通のやりとりをしていく中で、確かに彼に恋してました。 彼が大学生になって彼女ができたので、会う前に片思いは終わりました。 学生時代の宝物の一つは、その手紙かもしれません。 携帯の便利さから、手紙や年賀状からも遠退きつつあるこんな時代だからこそ、手紙の持つ不思議な力を忘れたくないなと思い出させてくれた作品でした。
小説版の刺々しさを優しく包み込んだような映画
とても良かったです。小説の方を先に読んだので、設定が若干変わっていたが楽しく見れました。若い役者達のそれぞれの演技も良くて、岩井俊二の演出はさすがだと思いました。 観賞後も心が洗われるような感覚があり、余韻にしばらく浸りました。 エンディングテーマの歌声がマイナス。
なんで高評価なん?
見終わった時、そう思いました。 感想としては、激しい喜びも悲しみも怒りもない、まるで植物のような気持ちでした。 そのあと失った金額のことを悔やみました。 とにかく気になったのは、ストーリーの抑揚のなさ ただ、淡々と物語が進んでいくだけ 内容が面白いなら、それでもいいけど別にそっちも微妙だからな〜 あとは、映像ですかね。美しい、綺麗なのは認めます。なんかドローンかなんかで撮影したんですかね。冒頭の森の映像は。なんか絵でも見てるような気分でした。綺麗だなとは思う。でも、なんの感想も浮かばない。次第に退屈になり、眠くなる。 福山さんは良かったと思います。松たか子は、なんか気持ち悪かったですが。あと、庵野さんの演技は、ジョークでやってるんですか?こっちを笑かそうと思って。 最後に一つだけ。あまりに、御都合主義すぎる。御都合主義は嫌いじゃありません。しかし、この映画は小さな御都合主義がたくさん散りばめられておられ、次第に気にかかり始めるのです。塵も積もれば山となるですかね。話を通すために、必要だったんでしょうけど、その割には面白くなってはいない。 まぁ過大評価ですね。この映画は
君にまだ恋してるって言ったら、信じますか?
相変わらずの映像美に吸い込まれながら、同窓会の案内が届いたところで、観ているこちらはすでに終わった恋だと知っているのに、何故だか”恋の始まり”を感じて、胸が苦しくなり始める。現代的じゃない「手紙」というツールが、ノスタルジックな感傷心をかきたてて、名作の予感がうずうず。 しかし、どこか筋書きに破綻が見え隠れしはじめると、こちらのトーンもクールダウン。 ちょっと冷めた目になってくると、今度はキャスティングに、うがった想像をしだす。 ドン臭い大人になった乙坂になぜ福山なのか?ほんとに冴えなく売れない小説家(本人がそれにしがみ付いているだけだが)を他の役者で演じれば、ただの粘着質の過去を忘れなれないみじめ男でしかない。それを福山の容姿を暗に思い出させることで、この人はほんとはもっとパッとした人なのに、と弁護したくなる気分を狙っているのではないか? 淡い初恋に再会した裕里になぜ松たか子なのか?死んだ姉に比べ精彩のない妹を他の役者で演じれば、昔嘘をついていた嫌な女でしかない。それを松が、今は家族を大事にしている妻をカラリと演じることで、その嫌味が消える。 つまり、映像美やキャスティングに騙されているだけで、けっこうジメッとした映画なんだということ。過去や現在の手紙のやり取りは、その手のかかり具合が面倒で、だからこそ思いがぎゅっと詰まっている気はするのだが、なにかその純粋な気分を、「俺は初めから知っていたよ」で裏切られた気がした。(そこできゅんとする人もいるだろうが) 何か。誰か。自分の口で直接伝えることができない代わりに、別の手段を媒体に相手に伝えることの切なさや、純真さ。この映画からそれを受け止められる人と、冷めてしまう人、両極いるだろうな。
違和感
監督の作品が好きで久しぶりに映画館へ。 オープニング部分の映像は監督独特の美が表現されていましたので、懐かしく、高揚を感じるほどでしたが・・・。 映像美は素晴らしかった(ちょっと揺れが気になりました)のですが、今回は脚本が気になるところが多く違和感を覚えるところもありました。 それが気になり、後半の図書館でのシーンの一言が・・・。 もっと違う表現は出来なかったのかなと。 映像では季節感が今回感じられなかった点と、 また、キャストも素晴らしい方ばかりでしたが、 日常風景を演出したいのか、それが逆に、演技があまり上手くないように思えてしまい、 そこもマイナス要因でした。 中国版も観てみたいです。
とてもいい
予告ではまた福山の映画かと思ってたら、そうじゃない 広瀬と森の姉妹がとても良い とてもじれったい、もどかしい、そんな感じですが、根底には悲しい物語がある 救えなかったどうしようもなかった けど明日はある そんな映画
同窓会に間に合わなかった命
遠野鮎美と岸野辺颯香の昔風のワンピース姿のツーショット 良かった~ スマホの時代なのにね。 乙坂鏡志郎君、君の小説の内容は読んでないからわからないけど、カメラセンスはいい。 矢部太郎君の郵便配達員、ほんの一瞬だったが、凄い存在感。上手い❗ 水越けいこ様をなかなか認識できなかったのは、わたしの脳の劣化が主な要因かと。小室等の頬にキスして、「さよなら」って言えば、わかったかも。 小室等様、半年前の東中野ポレポレでの六文銭ライブに参加しましたよ。ちゃんと木戸銭払いましたよ❗ライブのしゃべりは渋い声で流れるように話せるのに………わざとですよね。 木内みどり様、 かわいいおばあちゃん役が似合うバイプレイヤーとして、たくさんの心暖まる作品で活躍して欲しかった。残念です。「夕陽のあと」より、お元気そうに見えました。 岩井俊二監督作品❗ m(._.)m あとは 黙秘権行使させていただきます
名作です
岩井監督ならではの素敵な作品でした。ストーリーも穏やかさと重さが絶妙なバランスで、笑えるところもウルっとくるところもあり心に残りました。実力派の俳優陣がシブい演技をしています。 まだ原作は読んでいませんがどうして2人は別れたんだろう?乙坂が優柔不断だから?(福山雅治さんが男気ない役を見事に演じています) 最後はみんな吹っ切れたのかな? 好きなのは乙坂と阿藤がかけあってるシーン。 やっぱり2人ともカッコいい。
雰囲気はいい
雰囲気がいい。音楽が印象的。 監督のやりたいことはわかる気がするけど、うまく落とし込めていないと思う。セリフで説明しようとしすぎていると思う。 義母や犬は話を進めるのに必要だから入れたと思えるし、姉や乙坂の過去はもっと知りたいのに描かれていない。 松たか子は、昔好きな人が姉の名前の小説で賞を取ったのに全く知らないのは不自然だし、説明もない もし福山雅治と全く合わなかったとして、あの遺書を読んだらどう思うだろうか。もっと他に伝えたいことはあるだろうと思うし、高校時代のことを遺書に書くなら映画の中に高校時代のエピソードをもっと入れるべきだと思う この映画のMVPは広瀬すずだと思う。森七菜も良かった
手紙を知るすべての人たちへ
かわいいは無敵だ。 2人の少女が傘を差して、見送る写真が忘れられない。 森七菜と広瀬すずの組み合わせが絶妙だった。 神木隆之介、広瀬すずが高校生を演じられるこのタイミングで撮影できたことに拍手喝采! 例えば5年後だと違うキャストになってしまい、この甘酸っぱさ、きらめきは半減してしまうかもしれない。 松たか子と福山雅治の握手のシーンは肉欲なんて言うものがいかにちっぽけなものなのかと嘲笑うようだ。 ただ1度の握手があれば過去は全て報われる。 人が人を思い続けることって、とても素敵な事なんだ。 忘れられない人を忘れる必要なんてない。 手紙というものを知らない若い世代がオワコンなツールだと思っていたとしても、手紙には振り絞る最後の力がまだ残っていた。 とてもロマンティックな美しい映像を作る新海誠をして、岩井俊二ほど、ロマンチックな作家を僕は知らないと言わしめたように、ロマンティックが溢れ出して止まらない。 ラストレターで泣けるかどうかがリトマス試験紙のようにどちら側の人間なのか判定してくれることだろう。 好き嫌いは別れると思うが、泣けた人たちは私の戦友だ。
岩井俊二印
いや〜、岩井俊二作品だわ、というのが第一印象。 偶然テレビで「打ち上げ花火」を観て衝撃を受けてからその印象は変わらない。 特に少女を撮らせたら、その被写体の一番瑞々しいところを切り取って魅せる、それはやはりある種の天才だよね。 今作でも、今の現実の広瀬すずの印象からはかなり幼く無垢にさせたような撮り方と、森七菜の本当に今しか撮れないピュアでフレッシュな幼さをはらんだあの時期独特の感じを切り取る感じ。それが終盤の二人のツーショットに結実してる。 松たか子の主婦っぷりも良かったけど。
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