ラストレターのレビュー・感想・評価
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慕情
実に不思議な気分だ。
清らかな清流が人の骸をコロコロと運んでくるような。それに驚くでもなく慄くでもなく、ただただ目の前を通り過ぎてくのを眺めてる。
なんでこんな感想なのかはよくは分からない。この状態にどんな呼称があるのか分からない。だから、分からないから一生懸命書いてみようと思う。
ノスタルジックな青春の幻影の話なのかと思ってた。それはそれで、おそらくはそのまま進んでも心に残る作品になったと思う。
だけど、監督はまるで白紙に墨汁をぶち撒けるように破壊する。その過去の幻影に逃げこもうとする観客の胸ぐらを掴んで、人混みの喧騒と雑踏の中に引き戻す。
「どおして??」
そんな物語にしなくても良かったじゃない!そんなものが見たいわけじゃないんだよ!
軽く発狂しそうになる。
夢など見せてくれなかった。
作品は不思議な交錯をしていく。
未来への憧憬と過去への憧憬が交錯していく。まだ何者でもなかった頃、何者にかになるであろう将来に想いを馳せる。
もう何者にもなれないと現実と向き合った時、あの頃は良かったと過去の時間に想いを馳せる。
結局のところプラスマイナス0のような事で、唖然とする自分に今気づく。
確かに時間は流れていて、過去の自分とは違う自分がいたりもするのだが、距離って概念はあっても時間って概念はあるのだろうかと疑問を抱いたり…。
いや、あるよね。
間違いなく僕らは老いていく。
でも、心はどおなのだろう?
形骸化しない心というものにも、果たして時間の概念は当てはまるのだろうか?
…どっちでもいいよね。
風化した方が幸せな事もあるし、忘れられないもしくは忘れたくない事もある。
緩やかにでも記憶が曖昧になっていく事を思えば心にも時間の概念は当てはまるのかもしれない。
道のりを見てるようであった。
ズタボロだな、とも思った。
片道切符とか。
どこまでも行ける片道切符を持ってるけど、その列車がどこに向かうのかは知らされない。
…なんかそんな言葉をどっかで聞いたな。
思い出される情景は、いつも暖かな日差しの中だったなぁとか。
今の情景はどこか陰鬱で、生活臭が蔓延してて暗かったり閉塞感があったり。
子供達に別れを告げた時は雨の中だった。
でも嫌な感じじゃなくて、洗い流してくれるかのような清潔感があったな。
若かりし頃に抱いた「夢」は中身は何も変わらないのに、いつから「欲」と名前を変えたのだろうか?
色々と…モヤモヤとした問い掛けばかりが頭に浮かぶ。
吐き出される言葉は多いものの、何を語ろうとしてるのか、よく分からない。
豊川氏が醸し出す負のオーラみたいなのはえげつなかった。出来れば今後の人生において対面したくないと思う。
中山美穂の枯れた感じが、この作品の象徴とも思えてゾワっとする。よくぞこの役を受けてくれたし、キャスティングしてくれたと絶賛したい。
広瀬さんのギャップが表現する事も多いと思う。あんな可憐な少女…いや、実際にはもう女性という年齢なんだけど、そんな彼女に降りかかり続けてる不幸とか、生い立ちとか。
「迎えにきてくれる」と告げたシーンなんかは可哀想で可哀想そうで、見てられなかった。彼女の母は選択を間違えたのかもしれないが、彼女には選択権がない。
健気というか、気丈というか…屈託なく笑う笑顔は実は一生懸命笑ってたんだろうなぁと思える。
木内みどりさんに会えたのも、俺的には幸運だった。染み出す仕草に祖母の半生を感じたりする。
松さんがアレをやってくれたから、この作品を最後まで諦めずに見れたような気もするし。ホッと出来るというか、なんなんだろう?
許されてるというか、包容力に近いものを感じてたような気がする。
そして森七菜さん。
絶品だった。
素朴な感じに癒される。
まるで付け合わせのポテトサラダのような感じで…メインディッシュで頼む事はないんだけれど、なんの料理を頼んでも必ず盛り付けられてるポテトサラダ。いつしかそのポテトサラダが食べたいが為に、その定食屋に通うような。
ホントにホントにあなたがいてくれて良かった。おいくつなんだろう?14歳と言われても俺は全く疑わないと思う。
海町ダイアリーで広瀬さんを見た時には、まるで太陽のような印象だったのだけれど、今作の森さんには森林浴をしてるような清涼さと静けさを感じてた。
その2人を見つけた福山氏
俺的には気に入らない。
あんな程度のリアクションなのだろうかと頭を捻る。いやもう誰に感情移入してるのか分からない程入り組んでるから、俺の感情が先走ってた感はする。
それでもだ!もっと狼狽えてもいいんじゃなかろうか…興を削がれた感じがして残念だった。
切り取られる絵は、常に儚げで美しく岩井ワールド全開だったんだけども、今作はコントラストと言おうか、敢えて影をぶつける事でノスタルジックな淡く眩い瞬間を際立たせたような印象だった。
人の死もそうだけど、いくら懸命に手を伸ばそうと金輪際届かないものはある。
過ぎてきた時間もその一つで、それを切り離すか、自らの経緯と捉えるか、それによっても「今」は変わるような気がする。
何の躊躇いもなく経緯と捉えられる環境にいるならば、それだけでこんなに幸運な事はないと思う。
なんだろう?
きっともう一度会いたいと思うだろうなとの予感がする作品だった。
雨の中、傘をさして佇む広瀬すずと森七菜のカットがなぜか懐かしく、失くしちゃいけない何かがあるような気がしてならない。
…俺ってロリコンなのかなぁ。
福山氏の何かとリンクしたんだろうなぁ。
未来の幸せ、不幸、過去があってこそ
この監督の映画は初めてなのですが、キャスティングと内容が気になって観に行きました。
亡くなった姉と妹、似ていると思いました。
高校時代に誰よりも輝いていた姉は未来においてもそうなのか、そんな姉をもつ妹は結婚して子供もできて幸せなのかと思ったら、夫はなんとなくですが、トヨエツ演じる男に似ていない事もないなあと思ってしまいました。
未来において夢を叶える人もいればそうでない人もいる、現実は厳しい。
でも、あの時は楽しかった、嬉しかったという気持ちがあれば人は前を向いてこうという気持ちになれるんだと思わせてくれます。
トヨエツ演じる阿藤の台詞が辛辣です、真実なので何も言えない、ただ、聞くことしかできない乙坂、でも、女達も同じです。
映像も綺麗でロマンティックな気分に浸ってしまいました。
岩井監督の映像を堪能。
『Love Letter』以来25年ぶりに岩井俊二監督作品を映画館で鑑賞しました。
やはり映像は監督のこだわりが随所に現れていて、非常に楽しめました。
本作だけで捉えれば、果たしてここまで物語の筋を複雑にする必要があったのかな?と思わなくもなかったのですが、学生時代の記憶、手紙、文通といった要素を使って作品世界を構成する、という、『Love Letter』以降岩井監督が追求してきた主題の変化がうかがい知れて、一種感慨深いものがありました。
豊川悦司と中山美穂の共演という点でも、『Love Letter』との強い繋がりを感じます。ただこの二人、本作でも非常に人間味のある役どころだったので、もう少し物語に絡ませて欲しかったな、とも感じました。
改めて映像を映画館で観て、岩井監督の映像の美しさに心打たれました。
岩井監督の映像は、決して「きれいな風景を撮ったらきれいに撮れてしまった」といったものではなく、非常に細かい計算の上に成り立っています。
例えばホテルでのパーティーの場面、日陰を移動する場面など、それぞれ色味が異なるはずの映像で、あえて色味を調整しすぎず、できるだけその場の光を取り入れています。色味を調整しないと、昔のホームビデオのように場面ごとの映像的な一貫性がなくなってしまう危険性があるため、破綻をぎりぎりで回避するためには、かなり神経を使って個々の映像を調整していく必要があります(逆に調整しすぎると、場面ごとの光質が表現できなくなり、平板な映像になる)。岩井監督の一見自然に、美しい映像の背後にはこうした細やかな心遣いがあるんだな、と実感しました。
また、人物の顔に直射日光を当てない、という点についても徹底しています。木漏れ日の差し込む空間で、人物があちこちに動き回ったり、日差しの差し込む玄関の入り口に人物が佇む、といった情景でさえ、カメラの位置、画角、カット割りで人物の顔に光を当てず、最も肌が美しく映るように捉えています。これは神業だな、と感銘を受けました(二、三のやむを得ない例外はありましたが)。
本作鑑賞後、改めて『Love Letter』も見直したくなりました!
学生時代の宝物
前半、ちょっと笑ってしまうような会話がとても自然で、頷きながら観てました。
すずちゃんと七菜ちゃん二人の演技も自然で、布団の上でのシーンが微笑ましかったです。
「母の宝物です」
そこで、じーんときました。
手紙って良いなぁ♥️
松さんが手紙を読み上げ、福山さんが届いた手紙を開くシーンでも、手紙を書きたくなりました。
私も高校生の時に文通していて、4年ちょっとで150通のやりとりをしていく中で、確かに彼に恋してました。
彼が大学生になって彼女ができたので、会う前に片思いは終わりました。
学生時代の宝物の一つは、その手紙かもしれません。
携帯の便利さから、手紙や年賀状からも遠退きつつあるこんな時代だからこそ、手紙の持つ不思議な力を忘れたくないなと思い出させてくれた作品でした。
小説版の刺々しさを優しく包み込んだような映画
なんで高評価なん?
見終わった時、そう思いました。
感想としては、激しい喜びも悲しみも怒りもない、まるで植物のような気持ちでした。
そのあと失った金額のことを悔やみました。
とにかく気になったのは、ストーリーの抑揚のなさ
ただ、淡々と物語が進んでいくだけ 内容が面白いなら、それでもいいけど別にそっちも微妙だからな〜
あとは、映像ですかね。美しい、綺麗なのは認めます。なんかドローンかなんかで撮影したんですかね。冒頭の森の映像は。なんか絵でも見てるような気分でした。綺麗だなとは思う。でも、なんの感想も浮かばない。次第に退屈になり、眠くなる。
福山さんは良かったと思います。松たか子は、なんか気持ち悪かったですが。あと、庵野さんの演技は、ジョークでやってるんですか?こっちを笑かそうと思って。
最後に一つだけ。あまりに、御都合主義すぎる。御都合主義は嫌いじゃありません。しかし、この映画は小さな御都合主義がたくさん散りばめられておられ、次第に気にかかり始めるのです。塵も積もれば山となるですかね。話を通すために、必要だったんでしょうけど、その割には面白くなってはいない。
まぁ過大評価ですね。この映画は
君にまだ恋してるって言ったら、信じますか?
相変わらずの映像美に吸い込まれながら、同窓会の案内が届いたところで、観ているこちらはすでに終わった恋だと知っているのに、何故だか”恋の始まり”を感じて、胸が苦しくなり始める。現代的じゃない「手紙」というツールが、ノスタルジックな感傷心をかきたてて、名作の予感がうずうず。
しかし、どこか筋書きに破綻が見え隠れしはじめると、こちらのトーンもクールダウン。
ちょっと冷めた目になってくると、今度はキャスティングに、うがった想像をしだす。
ドン臭い大人になった乙坂になぜ福山なのか?ほんとに冴えなく売れない小説家(本人がそれにしがみ付いているだけだが)を他の役者で演じれば、ただの粘着質の過去を忘れなれないみじめ男でしかない。それを福山の容姿を暗に思い出させることで、この人はほんとはもっとパッとした人なのに、と弁護したくなる気分を狙っているのではないか?
淡い初恋に再会した裕里になぜ松たか子なのか?死んだ姉に比べ精彩のない妹を他の役者で演じれば、昔嘘をついていた嫌な女でしかない。それを松が、今は家族を大事にしている妻をカラリと演じることで、その嫌味が消える。
つまり、映像美やキャスティングに騙されているだけで、けっこうジメッとした映画なんだということ。過去や現在の手紙のやり取りは、その手のかかり具合が面倒で、だからこそ思いがぎゅっと詰まっている気はするのだが、なにかその純粋な気分を、「俺は初めから知っていたよ」で裏切られた気がした。(そこできゅんとする人もいるだろうが)
何か。誰か。自分の口で直接伝えることができない代わりに、別の手段を媒体に相手に伝えることの切なさや、純真さ。この映画からそれを受け止められる人と、冷めてしまう人、両極いるだろうな。
違和感
とても良かった・・・・
広瀬すずさん、「チアダン」「ちはやふる」など数々観ましたが、演技派女優ですね。TVより映画に向いているのかな。今回も素晴らしかった。お葬式での椅子の腰かけるシーンは、まさに中高生のしぐさです。又、家で膝を抱えているシーンのつま先の動きは、天才かと思いました。
映画は切なく、不覚にも涙が止まりませんでした。
「皆が等しく平等で」あった、煌めいたあの頃、
「夢を叶えた者、そうでなかった者」が懐かしく
振り返る場所・・・・
同窓会で流れた美咲のスピーチに、会場の皆が聞き入ったように
私も、二度と戻れないあの頃に想いをはせ
美咲の悲しい結末に泣けてきました。
観終わってから1週間。
余韻が残る、ってこういう事だったんだなと初めて知った
忘れられない映画です。
透明感がすごい
人は、忘れられない暖かい思い出が一つあれば、それだけで幸せなのかもしれないと思わせてくれる映画でした。
舞台設定は現代なんだろうけど、田舎の夏休みのシーンがほとんどなので、ノスタルジーに浸れます。誰もいない校舎、プール、浴衣で花火、ひぐらしの鳴き声‥こういうのが好きな人にはたまらないだろうなー! ワンピース姿の広瀬すずちゃんと森七菜ちゃんはまるで妖精のような神々しさで、見ただけで寿命が延びるかと思いました笑
登場人物は全体的にクセがなく爽やかな人ばかりなので、中盤に出てくる豊川悦司が怪しげな存在感が際立ちます。絶対禄でもないんだろうけど、田舎の優等生だった美咲が惹かれてしまったのもわかる気がする‥。
他の方が指摘している様に、確かにちょっと綺麗にできすぎていて、リアルな人間を見たい人には物足りないかもしれません。でも透明感溢れる映像美とも相まって、美しい物語に浸りたい人にはすごくおすすめですよ。
とてもいい
違和感だらけ
映像は確かに綺麗でしたが、映画を観ている間、ずっと感じていた違和感。それは、付き合っていた人なら字が違うことにすぐに気付いただろうということ。
皆さんの演技が素晴らしいからか、映画を観ている間は、違和感の理由に気付きませんでした。
それから、旦那さんがいくら駄目人間でも、愛しい娘を残して自殺するだろうかということ。違和感だらけのストーリーでした。
同窓会に間に合わなかった命
遠野鮎美と岸野辺颯香の昔風のワンピース姿のツーショット 良かった~ スマホの時代なのにね。
乙坂鏡志郎君、君の小説の内容は読んでないからわからないけど、カメラセンスはいい。
矢部太郎君の郵便配達員、ほんの一瞬だったが、凄い存在感。上手い❗
水越けいこ様をなかなか認識できなかったのは、わたしの脳の劣化が主な要因かと。小室等の頬にキスして、「さよなら」って言えば、わかったかも。
小室等様、半年前の東中野ポレポレでの六文銭ライブに参加しましたよ。ちゃんと木戸銭払いましたよ❗ライブのしゃべりは渋い声で流れるように話せるのに………わざとですよね。
木内みどり様、
かわいいおばあちゃん役が似合うバイプレイヤーとして、たくさんの心暖まる作品で活躍して欲しかった。残念です。「夕陽のあと」より、お元気そうに見えました。
岩井俊二監督作品❗
m(._.)m
あとは 黙秘権行使させていただきます
名作です
森七菜さん
私、おっさんですが、映画を観てよく泣くんですよね。
だから、涙腺が弱い自覚はあるんです。
そして、今回気付いたのが、笑いのツボも浅い。
この映画、思っていた以上に所々に笑ってしまう場面があって、必死に堪えたんですがクスクス笑っちゃいました。
他のお客さんは静かだったので、申し訳なかったです。
さて、この映画ですが、森七菜さんの映画と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。
森さんの印象が、そのまんま映画全体の雰囲気になっている様な。
と、偉そうに言ってみたものの、名前は知っていたのですが、ちゃんと認識したのは今作が初めてなんですけど。
それでですね、森さんの印象を具体的に考えてみました。勿論、殆ど本作の印象ですが。
ピュア、落ち着いてる、そしてとにかくカワイイ。
この映画、全体的にピュアな雰囲気が漂っているんですよね。
そして、激しい場面も無く落ち着いている。
それで、カワイイ・・・。
ん、そういう視点で振り返ってみると、この映画の中の想いってカワイイものが多い気がしてきました。
まず、過去も現在も裕里の想いって可愛いらしいんですよね。
これ、松さんが演じなかったらここまでの可愛げは出なかったかも。
それから、鏡史郎の昔の未咲への想い、今も持ち続けている彼女への想いも、可愛らしいと思えませんか。
だけど、流石に未咲の死の真相だけは重いです。
なので、この映画、もっと暗くも出来たでしょう。
ですが、重くのし掛かってくる様な作品にはしていませんでした。
多分、その大きなポイントになったのが広瀬さんの演技だと思うんです。
母の宝物を前にして、鏡史郎に対して抱いていた想いを吐き出した場面、もっと重苦しくも出来たと思うんです。
でも、広瀬さんが絶妙な演技でバランスを取って、この映画が綺麗な映画で終われる様にしたんだと思うんですよ。
あそこ、泣けるシーンだけど、暗い気持ちにならないんです。
役者さん達の演技が噛み合った、綺麗な映画だと思います。
雰囲気はいい
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