劇場公開日 2020年1月17日

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「返信早いんで」ラストレター サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5返信早いんで

2021年4月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

幸せ

ただただ評価がいいので気になって鑑賞。
岩井俊二監督の作品は今まで1度も見た事ないですし、出演者の広瀬すずと福山雅治が個人的にどうも好きになれない(ファンの方すいません)。ということで、そこまで期待はせず。

なかなか良かったです。
静かな恋愛映画だけれど、かなり趣深く監督が伝えたかったであろうことが沢山詰め込まれており面白い。

裕里(松たか子)は姉・美咲の葬儀に参列し、帰り際に姉の娘である鮎美(広瀬すず)から美咲宛の同窓会の招待状を手渡される。裕里は姉の死を伝えるために同窓会に足を運ぶが、自分が美咲だと勘違いされてしまう。

雰囲気とにかく良い。
照明の当て方や絶妙なカメラワークがとても居心地よく、ただの日常に見えるのだけどどことなく寂しさが空気中を漂っており、グッと苦しくなるものがある。特に福山雅治が涙を流すシーンではあの雰囲気と2人の心情に胸が張り裂けそうになり、姉の偉大さが感じられた。

先走って言ってしまったが、演者の良さが引き立っている。この監督は一人一人の演者を非常に上手く使っており、演技をしているとは思えないほど自然で違和感のない作りになっている。不器用だけど心優しい松たか子、漫画家で怒ると怖い庵野秀明、素直で陽気な森七菜、不安を抱える笑顔が素敵な広瀬すず...などなど、それぞれぽいな〜と感じる部分が凄く多い。オフの時もこんなんじゃないかな?と思えるほど。

そして余韻がとても良く色んなことを感じる。
私が一番強く感じたのは「昔の今の連絡」。
監督はこれを伝えたかったんだろうと思った。
昔は文を送るとなると手紙だけ。誰かを通じて手渡してもらったりして相手のことを想う。今でもおばあちゃん世代はその考えが根強く、手紙を書くこともしばしば。便箋ちょうだいと言えば直ぐに出してくれるし。
だけど、今ほとんどの人はLINEでメールを送る。LINEだとすぐに返信が送れるし返ってくる。紙とペンを出す必要も無いし、ポストに投函しなくてもいい。だけど、同じ文章なのに感情が伝わりにくい。
「誰?」って怒ってるの?ただ聞きたいだけなの?
手紙は長文のやり取り。これがどんどん無くなっていくのは悲しいな〜。

ただ、見応えにかける。
感動しないし、共感はあまりできない。
松たか子が主演というには何だか納得がいかないし、高校時代と現在の間に何があったのかというのをサラッと流しすぎている。ドラマでじっくりゆっくり時間をかけて話を進めて欲しいと思ったそんな作品だった。

また、意味不明な部分もいくつか。
3つの手紙が行き来する中でなぜ不信感を抱かないの?とか、じゃあなんで言わなかったの?とか、そんなアッサリしているもんかね?とか。この点も含めて1つの映画にまとめるには少し無理があったのかと感じた。

ただ、非常に心地よかったので満足です。
最近松たか子ブーム。大豆田とわ子と3人の元夫、マジで面白すぎますって!!!

サプライズ