劇場公開日 2020年1月17日

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「岩井俊二監督の力業」ラストレター "Auggie" Wrenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5岩井俊二監督の力業

2020年1月20日
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鑑賞方法:映画館

アタクシ的には『リリィ・シュシュのすべて』でコテンパにいてこまされて以来、
19年振りの岩井俊二監督作品。

いやはや、(『スワロウテイル』とか『リリィ・シュシュ~』みたいな)
激 し い 場 面 等 一 切 な い の に も 関 わ ら ず、
岩井監督の力業で捩じ伏せられたといった印象。
如何せん登場人物の皆々様がえぇ人なのか何なのか、我々観衆 (=外野) が観ながらにして感じるであろう “違和感” に本人達は何の疑問を持つ事も ましてや怒るなんて事なんか絶対にないままに (笑) 只々ゆったりと淡々と物語は進む。
そのせいかコチラが「いやいやいやっ」と苦笑いを浮かべてしまったとしても、流れ行く画面世界は終始平穏である。

心がほっこりしたりする景色や日常の何気ない会話、懐かしさを覚える瞬間や ぷっと吹き出してしまう様な微笑ましい行動、学生時分も大人になってからも伝えたい気持ちを上手く伝えられないもどかしさ、甘酸っぱさ、
そして胸を締め付ける事実──。

それらを丁寧に、実に瑞々しく彩るのが他でもない 魅力溢れる出演者達なのだ。
演技をしていない様な演技と云うか何というか (稚拙な表現でほんまに申し訳ない…)、主要キャスト達からは「是ってほんま素ぅのまま喋ってへんか??」と疑ってしまう様な台詞っぽくない台詞が度々出て来て、思わずはっとさせられる。
そんな話の核を成す人々に加えて誰もが知っている超有名俳優達 (例えば Love の Letter さん両人とかw) が重要な脇役として現れ、強烈な印象を残し 更に作品を盛り上げる。
嗚呼素晴らしい。

既に様々宣伝されている “発明” とも表現出来る物語導入部分の展開を劇場にて実際味わってみるのも中々にえぇモンやと思うが、どうか?
そして、知らぬ間にアタクシの様にどっぷり浸って頂ければ是幸いだ。

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"Auggie" Wren