「青春を切り取り続けた岩井俊二の集大成」ラストレター カメさんの映画レビュー(感想・評価)
青春を切り取り続けた岩井俊二の集大成
個人評価:4.8
再び岩井俊二のキャラクター達が息づき動き始めた。
有名俳優の起用でも、物語の中の個人的な人間となり、吸う空気までも、ラストレターの世界の住人である様に感じられるのが素晴らしい。
主役の福山雅治も、是枝監督の「そして父になる」では、役柄には見えず、芸能人のような本人のままだと感じたが、本作ではしっかりと不器用で売れない小説家となり、ストーリーの中で生きていた。
今までの作品を通し、十代の誰もが通る青春の1コマを切り抜き、描き続けた岩井俊二。
なぜその時代を描き続けたかの答えを、本作を通して教えられた感覚になる。
青春時代(初恋)の経験とは、これからも続く長い人生において、いかに重要で、また糧となり、振り返る必要がある時代。それが自分自身を語るうえでのルーツになる事。
本作は、そんな瑞々しい宝石のような時代を、描き続けた岩井俊二の集大成だと受け取り、あの感動的な卒業式の答辞が、それを物語っている。
またラブレターのオマージュの様な設定や、演出が随所に見られ、ファン心を楽しませてくれる。
拝啓、岩井俊二さま
あなたの作品に出会ってから25年間、ずっと岩井俊二作品は、自分にとって青春そのモノでした。
本作はその大事に温めた想いを、長い年月を経て、卒業させてくれた作品になりました。
「本日私たちは、卒業の日を迎えました。」
ありがとう。岩井俊二さん。何度もこの場所を思い出します。
敬具
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