劇場公開日 2020年1月17日

  • 予告編を見る

「未咲が残したもの」ラストレター @Ryota_daze27さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0未咲が残したもの

2020年1月18日
iPhoneアプリから投稿

‬岩井俊二監督の「Loveletter」が帰ってきた。一見ロマンチックな作風ながらもそれを凌駕する現実。‬
‪そうした二面性を初恋という題材を軸に時を超え巡り巡くって映し出す。‬
自らを偽り未咲として文通のやりとりを繰り返す裕里が次第に過去を思い起こす。鏡史郎もまた、初恋の相手である未咲に何十年経っても思いを寄せ、手紙を書き続ける。お互いが過去にやり残したことを埋め合わせるように、二人は幻想と現実を兼ね備えた未咲という存在を通して自身を振り返る。

‪初恋の呪縛に囚われた二人の男女が想う心情を汲み取れば感傷的にならざるを得ない、甘酸っぱくもビターな作品。‬
呪縛からの解放を望むのではなく、そこにむしろ浸ることの美しさのようなものを感じた。

居酒屋のシーンでは、売れない小説家として低迷する鏡史郎と、後ろで流れるプロ野球選手のヒーローインタビュー。光と影の対比。こうした細かい部分での演出も粋である。

大人が邪念のない純朴な気持ちで青春に取り残される話は大好きです、

@Ryota_yade27