「優しい人は助けてくれる」37セカンズ プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
優しい人は助けてくれる
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23歳女性の主人公は障害で手足が不自由で、過保護な母に介護してもらってた。
でも漫画を描く才能があり、アイドルみたいな漫画家のアシスタントについてた。
とは言っても実質ゴーストライターみたいなもので、利用されてる感じだった。
ある日、落ちてたエロ雑誌の編集部に、自分の漫画を掲載できないか問い合わせる。
女性編集長は会ってくれたが、作品から性体験の無さを見抜かれ、却下される。
ただ漫画のセンスは認めてくれて、セックスを経験したらまた連絡しろとのこと。
で過保護な母からの子供扱いに辟易してたこともあり、密かに夜の町へ。
ポン引きと話をして男を買ってみるが、ベッドで漏らしてしまい、失敗。
失意の中、そのラブホテルで障碍者の男と40歳くらいの売春婦と出会う。
この売春婦が面倒見のいい人で、仲良くなって一緒に買い物したり飲んだりする。
エロ漫画を描くために大人のおもちゃの店に付き合ってもらったりもする。
しかしそれが過保護な母にバレ、携帯を奪われ、しかも家に軟禁される。
それが嫌で脱出し、売春婦の紹介で知り合った介護士の家に居候する。
売春婦は女だてらに本当に男気のある人で、金の面倒まで見てくれた。
主人公は一念発起、子供の頃に両親が離婚して顔も知らなかった父に会いに行く。
しかしそこにいたのはその弟で、父は死んでた。しかしそこで双子の姉の存在を知る。
姉はタイで教師をしてた。介護士とそこへ行き、会うことが出来た。
妹がいるのは知ってた、でも障碍者と聞いてて怖くて連絡しなかったとのこと。
そういう本音で交流することができ、ついに自宅へ戻る。
過保護な母も反省したのだろう、子供扱いせず温かく迎え入れる。
そして姉が母に会いたがってたと聞き、号泣する。
この一連の経験は女性編集長の一言がきっかけだったので、後日礼を言いに行く。
主人公はエロでない普通の漫画はまだ描いてたが、それを別雑誌に紹介してくれた。
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障害を持ったことで異性経験はしにくいし、母も過保護になりがち。
そんな息の詰まる生活から自立を求めて頑張る女性の話。
そして正直に頑張る人間を助けてくれるのは、いつも心優しい人達。
この作品での売春婦、介護士、編集長といった面々である。
頑張らない人間はいつも自分のことで精一杯やけどね。
彼らの助けを得て、自分自身と向き合うことができた主人公。
またそれを間近で見た母も自身と向き合い、子離れするきっかけをつかむ。
タイトルの37秒というのは、生まれて来る時に主人公が呼吸できなかった時間。
そのせいで障害が残ってしまった。そして姉と立場が逆だった可能性もある。
それでも私で良かった、というラストの台詞が印象深い。