「抱擁」37セカンズ Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
抱擁
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終盤、片割れが登場する展開に、この構図には弱い。主人公にとっての「たられば」との邂逅。主人公の人生をミラーに投影して客観し、「でも私でよかった」と自己肯定に着地する。自分にしか与えられなかった人生を認知する純真さ。美しい瞬間。
観てる健常者にとっては彼女こそミラーに映りこむ自分自身かも知れぬ。自分が恐れる「たられば」。姉の言う怖かった気持ちは口にしづらいもの。手を取り抱擁する。これも美しい瞬間。
中盤まで子離れ・親離れの話として捉えていたので、終盤の展開は不意打ちだった。主人公は「自分がこうでなければ、母もああならなかったかも知れない」と語る。ミラーを通して、子と母が語らい、最後はやはり手を取り抱擁する。もはや涙でよく見えぬ美しい瞬間。
見事な構成だと思う。主人公のか細い声が終始説得力を持つ。真起子姐、かっこいい。
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