「切なくて、感動して、赤裸々で、ズコーン!と来る凄い作品です♪」37セカンズ マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
切なくて、感動して、赤裸々で、ズコーン!と来る凄い作品です♪
いろんな映画を観てるとたまに好き嫌いは別として、ズコーンと来る作品や突拍子もない変な作品に当たる時がありますが、琴線に触れる所か、琴線を揺さぶられる作品は割りと希で、そんな作品は求めてもそんなに在る訳でもない。
好みもあるし、タイミングもありますが、この作品は全くのノーマークながら、所謂ズコーンと来る作品との評判で期待値を上げて鑑賞しました。
で、感想と言うと…ズコーンと来た。
良い作品かと言うと良い作品。
感動するかと言えば感動する。
でも、インパクトもあるし、いろんな部分で赤裸々。いろんな衝撃的な所も踏まえて、いろんな事を訴えかけてくる。
総じて凄い作品かなと。
脳性麻痺の障害を持った主人公のユマの赤裸々かつ等身大の物語で成長物語でもあり冒険物語。
でも、いろんな事にインパクトがありつつも中盤から胸がキリキリと締め付けられる様な切なさが胸を打つ。
涙が溢れると言うよりも心の涙が滲み出る様な感覚でしょうか。
でも単にお涙ちょうだい物でない所が凄いかなと。
ユマが思い描く事。
それは別に特別な事ではなく、普遍的な事。
漫画家になりたい。それもちょっとエッチな作品の漫画家。出版社に連絡して持ち込みをするがエッチの経験がない事からリアリティーが無いと言われる。
で、いろんな経験をする為にいろんな事に飛び込んで、いろんな人と出会う。
文字で書くとたいした事で無い様な事でもスクリーンを通じて、それだけではない事が分かる。
普通は他人に見られたくないちょっと恥ずかしい部分が一杯。でも、障害を持つ事で何処か他人に見られなければ成立しなかったりして赤裸々。
それだけでもなんか凄いし、なんか偉い感じがする。
ユマを演じる佳山明さんは本職の女優さんではないんですが、物凄い体当たりで演んじられてる。
佳山明 = 貴田ユマかも知れないけど、彼女の持つ心の叫びが切なくいとおしく問い掛けてくる。
障害を持つ主人公を障害を持つ女性に演じてもらう事でリアリティーを追求する以上の何かを求めたHIKARI監督は物凄い監督で物凄いプロデューサーなのかも知れない。
この作品の良い部分は出てくる人達に悪い人はいない事。
強いて言うなら、萩原みのりさん演じるヤサカぐらい。でもヤサカですら、悪い人ではなくて、少し自分に正直で自分自身が優先なだけ。
でも、それは特に珍しい訳でもなく、自分優先は多かれ少なかれ皆にある訳でそれが少し誇張して描かれているだけ。
ユマのお母さんだって、娘可愛さから来るちょっと過剰に感じる愛情からな訳で障害を持つ娘が心配なのは至極普通。
奥野瑛太さん演じる出張ホストだって、仕事であるが普通に優しい。
渡辺真起子さん演じる舞が素敵♪
ユマを偏見を持たずに接していて、それでいて等身大。
懐が深くて姉御肌。オープンな性格が物語に爽やかな風を吹かせてくれている。
大東駿介さん演じる俊哉が何処までも優しくて、かと言ってユマに特別な感情を持ってる訳でも無いのが逆にちょっと難しい。俊哉の見返りを求めない献身的な愛情は何処にあるのかが少し悩みます。
板谷由夏さん演じるエロ漫画雑誌の編集長の藤本が良い感じ♪
最初は冷たく見えても、ラストのあの距離の取り方は有能な編集者で大人の女性。
障害を持つ人が虐げられる描写はやっぱり観ていても心が痛い。
だから、出会う人達は終始優しい人達であって欲しい。
勿論、物語を面白くする為の演出として、嫌なキャラクターも必要と言うのは分かるけど、物語を面白くする為だけにそういった演出をするのはやっぱり嫌。
そう考えると、ユマがいろんな事を行動して「微笑みの国」タイに行くのは出来すぎかも知れないけど、なんか必然な感じもしました。
家出したまんまでタイに行くのに対して、パスポートはどうしたの?と言うツッコミはご愛嬌w
ラストも良いんですよね。
とにかく未来に向かう光が眩しく感じる。
“落ち込んでたらアカン。頑張らなアカン。楽しまなアカン。”と言ってくれてる感じですw
タイトルにもある37秒がその後の人生を決定付けたかも知れないけど、ユマは別れた双子の姉に気遣う“私で良かった”は台詞にしてもなかなか口に出来ない言葉かと思うからこそ、胸がキリキリと切ない。
障害を持った人を周囲は腫れ物に触る様に扱う事がありますが、それは決して差別でもなく、周囲の人の気遣いでもあり、どう接したら正解なのかが分からないと言うのが正直な所かと思います。
勿論、どうしたら良いかに正解が無いからこそ、この作品は大事な事を教えてくれたかと思います。
この作品をテレビのドキュメントやドラマで見るとまた違った感想を持つかと思いますが、映画作品として劇場で鑑賞出来たのがなんか嬉しい。
やっぱり映画って良いなぁとしみじみ思います。
いろんな感想があるかと思いますが、個人的にはズコーン!と来ながらもお薦めの作品です。
CBさん
コメントありがとうございます。
また、同感して頂きまして恐縮です。
ユマがいろんな事に大変な中、周囲の人達が優しく暖かなのが救いで良いんですよね。
良い作品なので、変な小細工をしてないのも好きです♪
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
Marikoさん
コメントありがとうございます。
こんな作品が増えてほしいは全く同感です。
監督のHIKARIさんは海外在住の方なので、新風を入れられてますよね。
ベタなお涙ちょうだいの作品でないのが良いですよね。
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
tyzさん
コメントありがとうございます。
いろんな作品があって、いろんな作品の良さがありますが、この作品はやっぱり沢山の人に観て欲しい作品かと思います。
いろんな意見があるかと思いますが、こういった作品がヒット世の中であってほしいと言うのは同感です。
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
こんな作品が増えて欲しいですね。
邦画らしからぬテンポの良さ、つまりのなさ、なぜ???と思っていたら、やはり。
ヒカリ監督はハリウッド仕込みの映画人でした。
日本の映画界ではこんな絶妙なバランスの作品は難しいかと。
ベタベタなお涙頂戴になってしまうかと。