「前作『ナイトクローラー』から成長(?)したルイスブルームさんの映画」スパイダーマン ファー・フロム・ホーム アンダーアーマンさんの映画レビュー(感想・評価)
前作『ナイトクローラー』から成長(?)したルイスブルームさんの映画
※支離滅裂なことを、大した文章力もない酔っ払いが書いてると思いながらお読みください。
まず初めにこの作品の評価だけを伝えるが、いたってシンプルに楽しめたMCU映画だった。
無論、MCU作品を最大限楽しむためには過去作の視聴は必須と口を酸っぱくして言ってきた自分ではあるが、今作は(幸運なことに)『アベンジャーズ/エンドゲーム 』と『スパイダーマン/ホームカミング』(ポストクレジットシーンで「?」となりたくない場合は『キャプテンマーベル (今ならデジタル版で視聴可能)』は見ときたいところ)さえ見ておけばほとんど差支えがない点が良心的。
普通に『スパイダーボーイ/ニアーバイハウス(すまし顔)』の内容についてネタバレありで感想をつらりつらりと書いてもいいが、それではあまりにも平凡なレビューに仕上がってしまいそうなので、ここはあえて誰もやらないような切り込み方で自分なりのレビューを書きたい。
ネタバレ込みのレビューであるとして書いてはいるが、ここで気をつけるべきネタバレは実は『ナイトクローラー』だったりする。
だから「『ナイトクローラー』ってなんやねん!」って人はいますぐNetflixなりなんなりを開いて視聴することを強くお勧めする。
『ナイトクローラー』とは、野心を持ったクソ野郎(褒め言葉)があの手この手で成功を収めんとするサクセスストーリー(半分嘘)を描いた作品であり、その主人公ルイス・ブルームを演じたのが本作で謎のヒーロー、ミステリオを演じた名優ジェイク・ギレンホールだ。
まず、予告映像で突如MCUに登場したヒーローの素顔が初めて明かされた瞬間に、図らずもにやけてしまったのはやはりジェイクが演じたルイス・ブルームというキャラを彼自身に投影してしまったからだと私は考えているが、とにかく彼がMCUに登場するのは良い意味で予想外だった。
彼のことをよく知らない人でも、彼の彫りの深い目を見れば「むむっ、こいつ、何か良からぬことを考えてそうだ!」なんて印象を持つ人も少なくないと思う(ジェイクに失礼)が、その不安を常に抱えながらこのMCUフェイズ3を締めくくる本スパイダーマンを鑑賞していると、思った通り作中中盤であるどんでん返しが起きるのだが、ここで彼の素性を前作『ナイトクローラー』(しつこい)で知っていた私は心の中で(やっばりな!思った通りだこのクソ野郎!)と叫びつつ氷のなくなったペプシコーラを飲んでいた。
この視点、つまり『ナイトクローラー』でのルイス・ブルームと本作のミステリオは同一人物(だと思い込む)視点から見ると、この映画での彼は前作から大きく成長したように感じた。
彼は前作で、「成功のためにならなんだってするしなんだって犠牲にする」というスタンスとともに、「自分が大好きで大好きでたまらない」という自己愛性人格障害者的な要素を擁立したクソ野郎であり、その結果人の死すらもネタにする最低野郎と化したわけだが、今作での彼は前者・後者ともより行動力を添えた形でブラッシュアップしたような役となっている。
今作では、自分の開発した技術を(オブラートに包んで)ゲロと表現されたことを発端として、今は亡きトニー・スタークへの復讐と、自分が新時代のヒーローだと崇められたいという自己承認欲求が歪んだキャラクター、ミステリオを作り上げた。
今回の彼は自分1人ではできないことをわかった上で、仲間を募り自ら課した大義を果たすべく多くの「フェイク」を作り出していく。
だが、作中彼が味方にドローンで銃を突きつけるシーンから分かるように、あくまで彼がなりたかったのは絶対的なヒーローとしてのミステリオという地位であり、そこには自分以外の要素(ここではドローン技術を提供した相棒的存在やドレスアップ担当の女性など)などなく、彼らがどう扱われるかなど気にしていない、あくまで自分を立たせる為の演出道具としての仲間なのだと、観ていて感じずにはいられなかった(ルイス・ブルームが頭をよぎっていたため)。
勿論、彼らも自分たちが表立って評価されるものではないとわかっているにしても、ここまでして仲間を扇動して成功を収めようとする心意気、まさにルイス・ブルームに繋がるように感じた(強引ながら)。
『ナイトクローラー』のラストシーンでは、ルイス・ブルームは新たなチームメンバーに向かって「私がやらないようなことは絶対に君たちにやらせたりしない!」などとほざいていたが、作中で相棒や同業仲間を犠牲にして成功の道を歩もうとしていたのを観た後では、本心では自分の成功だけが目標でありその達成のためならなんだって犠牲にするような気質は俄然変わっていないのではないかという不安を感じざるを得ない。
その点、本作のミステリオは自ら進んで前線に立ち(プロジェクトディレクター的な意味だが)、「ガキどもは俺がやるキリッ」みたいな発言もしちゃうぐらい自分でなんでもやろうとするキャラクターだったが、やはりというべきか彼は本作では悪役として語られるため、ラストにはしっかり死に際を押さえられることとなる。(『ナイトクローラー』だと...)
勧善懲悪になるのがほとんどのヒーロー映画であるのには間違いないが、今作では『ナイトクローラー』のような「悪い奴らがのし上がっていく」的な現実的な話でなく、1ヒーロー映画としての戦いの末としてルイス・ブルーム的ミステリオが成敗されてよかったよかったというストーリーのため、なんともいえない複雑な感情を抱きながら鑑賞を終えた。
もう終盤何も書いてるのか自分でもよくわからないが、とにかく『ナイトクローラー』という作品を直前に見ておいて良かったと思いました、はい。