「まだ続けるつもりなんですね…」ターミネーター ニュー・フェイト 映画官さんの映画レビュー(感想・評価)
まだ続けるつもりなんですね…
まずシリーズものの問題点として元々観客の前提知識がある程度あるので無知な登場人物に1から説明するくだりは本来退屈に感じるのですが今作はコンパクトにまとめてて良かったです。
しかし全体的には少し退屈に感じました。
ジョンとスカイネットは無かったことになり代わりにダニエルとリージョンが生まれた世界という時点でターミネーターを過去に送る必要が薄く感じます。
だって互いに殺したり滅ぼしたりしてもまた新しい代わりが生まれるわけですから。
永遠に終わらない争いの一部を映画として見てるだけなので危機感が感じられません。
そして敵のrev9に対して主人公サイドに味方が多すぎるのも同様です。
2だったらスカイネットのシステムを破壊するという前向きな動機と液体金属から追われながらそれを達成するという点が物語の推進力になってたと思うのですが、今回は後半からrev9を倒すことに一点集中していてもう一つサブプロットが欲しかったところ。
そしてテーマなんですがもう少し意外性が欲しかったです。
映画の中盤の飛行機の中でダニエルが言う。「未来より今を懸命に生きることが大事でしょ!」
あまりにも普遍的な内容で驚きましたがそれ以前に変えられない未来だからこそ少しでも変えてみせようという話にはもうならないのかと残念に思いました。
2で解決した話をむし返して言えることがそれだけなのかと。
冒頭の工場のシーンで機械に仕事を奪われる人間という構図が出てきますがそれは現代的なテーマだし避けられない変化でもあります。
しかしだからと言ってネオラッダイド運動みたいに機械を敵と見なし破壊するべきなのか?
そうではなくて人間と機械が調和した世界を目指すことこそがこれからの人類の課題なのではないでしょうか。
実際、グレースは体に機械を取り入れ強さを手に入れた人間、シュワは20年間家族を持ち人間性を学ぼうとした機械として描かれています。
話が変わりますが例えばターミネーター2と似た映画にXMENフューチャーアンドパスト【未来はセンチネルという機械に蹂躙され全裸のウルヴァリン(ターミネーターっぽい)を過去に送ってミュータントがある人間を暗殺するのを防ぎ未来を改変するお話】
という映画があるのですがあれでは人類とミュータントの戦争を回避するために不殺によって復讐の連鎖を止めるというとても救いのある話なのですが、今作のターミネーターではそのような着地はありません。
ただただ機械は悪だと喝破しています。
この映画のタイトルがダークフェイトである通り人間と機械の戦争はもはや避けられない運命なのです。
けどそれはターミネーター3でも似たようなオチやってませんでした?
2の正統な続編と言うならその戦争の先にある答えを見たかったというのが正直なところです。