「お久しぶりです」デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆 珍画太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
お久しぶりです
まず、「デジモン」に関わる大人達に感謝を。
最早「個人的に」しか語れないデジモンシリーズを一般的に客観的に語るのは不可能であるという前提の下。
テーマ「成長」「進化」「未来」「革命」
初代テレビシリーズの「紋章」や「アポカリモン」に通ずる設定、私言葉で「進むことへの勇気」の視点を自分達に置き換えて扱った様に感じた。
思うに、無印から一貫していたテーマであり、時々の製作陣による解釈も踏まえてずっとデジモンシリーズに通じていたテーマであるはず。
そういう意味でも決して「後付け設定」とは全く言えず、むしろこれまでの作品群に固執する様こそ本作のテーマと連動しているとすら感じるが、その気持ちも分かるよ。
個人的には、「ウォーゲーム」になぞった輪郭などの青調や「クリスタル」という物質の親和性が、ボスデジモンとマッチしており、バトルシーンが綺麗だった。
「空」のデジヴァイスが太一やヤマトよりも早く黒ずんでいる(ピヨモンが消えてしまった)など細かな演出にはファン各々ならではのシリーズとの歴史や解釈があるのかもしれない。それこそが映画の醍醐味である。
結果的に「それでも進まなければならない」という事自体は最早格言になりつつあるが、妄想として「仲間達が望んでいる」という疑念があり、かつそれが許される=完全に自分の選択だけで決定される事が保証されている環境においては、「私自身はともすれば…」とよぎった時点で「変わらない太一達の決断」がひどく刺さる。
彼らからすれば、生死を常にかけていた冒険と比べてパートナーとの別れはそれまでとなんら変わらない。変わらないはずが、最早子供ではない彼らにとって、益々その大切さは重くなるばかりであるのは当然で、それでも夢物語の中と同様に「勇気」を以って決断した輝きが「間違い」とはならないように願うばかり。
あとテリアモンの隣にロップモンがちゃんといてくれたり相変わらずウーロン茶好きだったり宝石のように楽しめる小ネタが素敵でした。
もしかしたら、今回の進化体で商社に務める未来のアグモンがいたり、50年後には子供達にハープを教えるよぼよぼのガブモンがいたりするのかもしれません。
有難う御座いました。とてもいい映画体験でした。