「戦闘&BGM良 大人にだって可能性あるんじゃないの??」デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆 とれいるさんの映画レビュー(感想・評価)
戦闘&BGM良 大人にだって可能性あるんじゃないの??
今更ながらアマプラで視聴。
かなり良かったけれど、どうもモヤる部分も。
一番モヤるのはメノアの英会話。
〇良かった点〇
戦闘シーンのこだわり (OPは特に見ごたえ抜群)
BGM (メノアのデジタル世界での戦闘は鳥肌が立った)
戦闘の演出(進化バンクやBGM)は初代寄り。久しぶりに見る人にも優しい
電脳空間での戦闘
動きのモーションが滑らかでよい、ギャグ顔(?)も自然だった
余計な会話を挟まない(場違いな発言が少ない)
気持ちをしまっておかずにちゃんと口に出して言うところ(triで超気になった部分)
情報をきちんと共有するところ(一部の人物は除く)
心情と背景状況がマッチしていて入り込みやすい
02勢の活躍(さんざん文句言われてた部分、ただしタケルとヒカリは合流しない謎)
別れと成長をよく90分でおさめたなと思えるストーリー
パートナーデジモンが𠮟咤激励飛ばすのは大変ぐっと来た
サイコな悪役が良い・それなりに救いがある
●気になった点●
1.劇中での違和感
今作は前映画triの流れを継いでいる作品という前提で進めるなら、太一達は既にパートナーデジモンたちとの再会を果たしている(一応、別れも)。だからこそ、最後まで別れに抗おうとしない姿勢が不思議だった。
それこそtri6章でゲート作るために身を粉にしてきた光士郎が何徹してでも止めるんじゃないの?とさえ思った。空に至っては家に閉じこもっているだけ、もはや出番云々言ってる場合じゃない。その姿勢こそ問題。
triの流れを継ぐにせよ別世界線で進めるにせよ、半生一緒に過ごしてきたパートナーに対して、というよりデジモンの存在そのものに対して、気持ちが薄く感じた。
2.別れと成長を90分でおさめたからこそ出てしまう描写不足
別れてからの喪失感から立ち上がって前進するまでが描かれていない。夏からいきなり春に飛ぶのはちょっと…?丈空ミミをはじめ、あとは脳内補完してね!ということなのだろうが、そもそも選ばれし子供たちは8人、それぞれパートナーデジモンとの関係性も違うんだから、ちゃんと描いてほしかった。この、涙を流しきれない感じをどこへしまえばいいのか…。
別れてしまうけれど大人になってどうにかして再会する。この流れだけ汲み取れば、よく言えば王道だけども、ロケット背景にポーズ&スーツ姿でダッシュじゃ、何をどうするかどうやって会うのか何になるのかとか諸々、02知ってる人にしか伝わらないし、「何かすごいことするんだろうな」程度になって、いまいち絆が見えてこない。丈空ミミに至ってはデジモンいなくても進んでいきそうに見えるのが尚更残念。
3.可能性を見せてほしい
メノアの振りかざす理論もゲンナイ(善)がいうことも、所詮は「そういう研究結果もある」「そういう事例もある」で対抗策がないわけじゃない筈なのに、太一ヤマトも結局受け入れてしまったのが一番惜しかった。現にゲンナイは「無限の可能性があるならあるいは」って言ってのに、その割にはアクションが無い。最後まで反抗してほしかったし、別の道を見つけ出してほしかった。triの時も思ったけれど、「唯一の方法」という枠に固執しているように思う。
もし、大人になるとパートナー解消される、というのならば、それこそ「選ばれし子供たち」が打ち破って変革してほしい部分ではあるし、それができるのはデジモンたちと苦楽を共にしてきた彼らだけ、もっというとメノアが目を付けた太一ヤマトはじめ初代勢が、と期待してた。
可能性は彼ら自身が広げられる、という希望がまだ残っているのに「気持ちにどう折り合いをつけるか」方向に話が進んでしまったばかりに、閉塞感というか諦めというか、あーこれ確実に別れちゃうやつだ…とこちらも覚悟するはめになるとは。
散々彼らが特別!最強!絆!ってやっておいて結局同じ道辿るのは、あんまり納得いかない…。
※アグモン・ガブモンの最終進化、フロンティア寄りデザインは嫌いではないので悪くないとは思うけど、中身がおっさんっぽいのがいけない。顎だけで分かるおっさん具合。その割に声が高めなのも奇妙(ガブモン)。
<結論>
結局のところ、太一とヤマトがどう覚悟を決めたかの話であって、パートナーデジモンと共に歩む、もといデジモンと人間を描いたストーリーにしてはやや弱いかなというのが個人的な感想。
しかし、triよりも気が散らずに観れた上、戦闘シーンやエオスモン大量出現シーンは鳥肌ものだったので、良い映画版だったと思う。これこそ3章くらいあっていい。