「スクリーンで見る必然性は?」search サーチ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
スクリーンで見る必然性は?
はたして映画と言えるのか?
話そのものはシンプルで、娘と上手くコミュニケーションを取れない不器用な父親が、娘の失踪をキッカケに、内緒にしていた残酷な事実に気づいていくというもの。ただし、他の映画と決定的に違うのは、全てのストーリーがパソコンの画面を通して語られて行くこと。短編で、いくつか似たようなものは見たことがあるが、ここまでの長編は初めて見た。斬新で、画期的な試みと言えるが、はたしてスクリーンで見る必然性があったのだろうか。だが仮にスマホとかで視聴したとしたら、ひどくチマチマと散らかった画面になり、見づらいのは間違いないと思う。
カーチェイスやアクション、ド派手なスタントは全くない。
それにしても、SNSを通して、ここまでのことがわかってしまうなんて、少し背すじが寒くなった。この父親、いわゆるテレワーカーで、極端にパソコンに依存した仕事をしているが、人となりが全く伝わって来ないのがちょっと残念。ここまでのことがパソコンで突きとめられるのなら、娘の行動も、こうなる前に監視できていたんじゃないかと身もふたもないツッコミが入りそう。ま、そこは映画ということで。
全ての映像を、パソコンを通して表現するということで、無理のある展開もいくつかある。例えば犯行の告白をして自殺する男の映像とか。ストーリー的にはかなり重要なものだが、そんなことをするような繊細な人間には見えない。深読みすれば、それも伏線なのかも知れないが、やっぱり、肝心な部分だけでも、映画として表現して欲しかった気もする。「この父親は今、きっと哀しいに違いない」とか、映ってない部分は、想像力が物を言う構成なので、分からない人には全くささらない映画だろう。
『メメント』『クローバーフィールド』なんかが好きな人にはかなりささりそう。
たまたま同じ時期に『クレイジーリッチ』を見たけど、アジア系の俳優の存在感が増しているのに、肝心の日本人は一切キャスティングされてない。やはり言葉の壁は厚いのだろう。少し残念だ。
2018.10.29