「天才芸術家を十分に理解したかったが、謎も少なからず残った」永遠の門 ゴッホの見た未来 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
天才芸術家を十分に理解したかったが、謎も少なからず残った
ジュリアン・シュナーベル監督による2018年製作のイギリス・フランス・アメリカ合作映画。原題:At Eternity's Gate、配給:ギャガ、松竹。
ゴッホが、牧師の息子で宗教学を学んでいたこと、或いはシェークスピアの戯曲を日常読んでいる様なインテリであること、更に画商である弟の仕送りで生活していたことを、初めて知った。一つの絵画、例えば靴の絵を描いていくプロセスを最初の一筆から見せてくれたことは嬉しかった。そして、ゴッホは描く勢いの様なものを、ゴーギャンと異なり重視していたことを教えられた。
ゴッホが聖職者に話していた様に、宗教的に自分は神が早く送りすぎた存在であり、未来の人間のための絵を描いていると確信的に話すところは、成る程そうかと思った。子供に自分に絵を揶揄された時の不器用な対応、精神的にあまりに脆く弟にあやされるのが、天才画家の裏側面なのか?
画材を求めてゴッホが自然に触れ戯れる姿は良く理解できるし、異様なものが見えるというのも精神的な病気によると理解できる。ただ、ゴーギャンが都会に戻ることを受けての耳切断とそれをゴーギャンに渡そうとした行動は、映画を見ても良く理解することは出来なかった。また、ゴーギャンが何故、ゴッホと共同生活を行ったのかも、自分には良く分からなかった。そういった点で、ゴッホの理解は深まったが、謎も多く残り(自分の理解能力の低さに起因かもしれないが)少なからず不満を感じた映画ではあった。
製作ジョン・キリク、製作総指揮カール・シュポエリ、マルク・シュミット、ハイニー ニック・バウアー 、ディーパック・ネイヤー 、シャルル=マリー・アントニオーズ、 モーラ・ベルケダール 、ジャン・デュアメル ニコラ・レルミット 、トーステン・シューマッハー 、クレア・テイラー 、フェルナンド・サリシン 、マキシミリアン・アルベライズ。
脚本ジャン=クロード・カリエール、ジュリアン・シュナーベル 、ルイーズ・クーゲンベルグ、撮影ブノワ・ドゥローム、美術ステファン・クレッソン、衣装カラン・ミューレル=セロー、編集ルイーズ・クーゲンベルグ、ジュリアン・シュナーベル、音楽タチアナ・リソフスカヤ。
出演は、ウィレム・デフォー(フィンセント・ファン・ゴッホ)、ルパート・フレンド(テオ・ファン・ゴッホ)、オスカー・アイザック(ポール・ゴーギャン)、マッツ・ミケルセン(聖職者)。