「今も差別は消えていない」ナイチンゲール ぐちたさんの映画レビュー(感想・評価)
今も差別は消えていない
大英帝国による収奪の仕組みがアジア、アフリカに築かれた19世紀。
帝国の最果ての地であるオーストラリア、タスマニアで、自らの欲望のままに女を犯し、殺人することを厭わない悪魔のような男がいた。男の外見はりりしいイギリス軍の士官である。しかしその心は満たされず、精神は病んでいる。
男のために全てを失ったアイルランド女、クレアは男を追う。そして、先住民アボリジニの男、ビリーの助力を得て復讐を果たしたクレアは、ビリーと二人、砂浜に逃げ延びる。
クレアが歌う。水平線に日が昇る。前を向いたクレアが、歌の次のフレーズを歌おうとするところで映画は終わる。明るい要素のない物語が、明るい未来を示唆して終わる。
もしかするとクレアとビリーは、その後、幸せに暮らすことができたのかもしれない。しかし、今も差別は消えていない。
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