「自らのスタイルを確立する瞬間に感動する逸品」ある画家の数奇な運命 エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
自らのスタイルを確立する瞬間に感動する逸品
モデルとなったゲルハルト・リヒターが現代美術界の巨匠だということを後で知った。全然知らなかった。
序盤、主人公・クルトの少年期に強い影響を与える叔母・エリザベトの魅力に釘づけになる。ナチ党政権下にあって不遇な運命をたどったエリザベトが幼いクルトの記憶に大きな傷を残した。
戦争中に入党を迫られ屈した父は、終戦後、入党を理由に厳しい処遇を受けた。
戦後の東ドイツ、美術学校でのエリーとの出会い。エリーを大切にするクルトに強く共感した。生活を第一に考える彼の生き方は実に真っ当だった。
終盤、西へ行き苦しみながらも自らのスタイルを確立していくプロセスに高揚し、熱くなった。
いや〜、いい作品でした。ドイツの激動の時代と芸術家の半生をクロスする構造が秀逸。厳しさの中で決して失われることがないポジティブな空気も好物でした。
そして何より二人の女性に激しく恋をした❣️
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