ROMA ローマのレビュー・感想・評価
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衝撃的なシーンが2回、でも観て良かったです。
1970年代のメキシコが舞台。
ネイティブメキシカンの若い家政婦の、視点から見える日常生活の様子を、ドキュメンタリー風に描いている。モノクロ映像が美しく、ストーリーは静かに淡々と単調に進む。
少々違うかもしれないが、レヴェナント・蘇りし者(ディカプリオ)の自然光映像美を彷彿させるような気がした。
衝撃的なシーンが2回あるが、隠していない(ぼかしはない)。真実を正直にスクリーンに映し出している。
衝撃的で、不快感を感じても、そのシーンにぼかしを入れたら、この映画が台無しになってしまう・・・。これにより、全体を通してのこの映画の良さ、怒り、悲しみを感じることができる。
そして、予告(パンフ)の写真の意味も、最後のクライマックスシーンで分かる。
この写真は何か?という疑問が解ける。
上手く説明できないが、観れば分かる作品。
ほんとは・・・・・なの、とクレオは泣きながら言った。
主人公としてはパッとしない家政婦クレオ。彼女の"流されて生きている人生”に、何故か引き込まれていく気分はあった。まるでモノクロの写真集を動画で見ているような贅沢な映像美が、そうさせたとも言える。
しかし、各地の映画祭で賞をとるほどなのか?と不思議に思うのが正直な感想。
成瀬っぽい
この作品を、小津安二郎の作品のようだと論じる向きが多いが、キュアロンの最新作はむしろ成瀬巳喜男の映画との共通点が多い。
まず、家屋の間取りや、そこでの生活の様子が良く分かる屋内のショットが魅力的である。
そして、登場する男たちがどうしようもない奴であるということと、カネに対して合理的な女たちが出てくるところも成瀬の映画を思わせる。(「お得意様割引」!)
成瀬が主に高峰秀子を主演に据えた作品群には、時代の変わり目に生きる女性の、強かさと哀しさが映し出されていた。
この「ローマ」もまさに1970~71年という、オリンピックを終えて経済成長が限界に差し掛かったメキシコ社会の変革の中に生きる、二人の女性の哀しい試練と、それを乗り越える強さを描いている。
しかし、小津らしきものがこの作品に全く無いなどと考えているわけではない。
終盤の海辺での、「赤ちゃんに生まれて欲しくはなかった」という主人公クレオの告白は、小津の「東京物語」における「わたし、ずるいんです。」という原節子の台詞に匹敵するほど衝撃的だと思った。
これはメキシコ人の大半がカトリック教徒であることを考えると、中絶という選択肢が最初からなかったクレオの抱えた絶望と不安、そしてそこから解放された安堵の大きさを伴った言葉だととらえることができる。
最後の画面には子供時代に世話になった家政婦への献辞が捧げられているが、この家政婦や母親への監督の眼差しは決して彼女たちに同情的なだけでない。
特に母親に対してはときに厳しい視線を送っている。
酔って車を運転して帰宅したり、家政婦に八つ当たりをしたり、生活の細かい部分でだらしがなかったりする。
夫の不満は「空の容器ばかり入った冷蔵庫」と「いつも犬の糞を踏んでしまう(ほど糞がたくさん落ちている)エントランス」である。
特に前者は、私自身も同じことを家人に文句を言ったことが何度かあるだけに、そして映画でも我が家においても、言われたほうは何のことでそんなに相手が怒っているのか、正直なところ分かってはいなくて、夫婦関係の終焉に向かうのだから、ここは苦笑いするしかあるまい。
ぜひとも映画館で観るべき!!!
モノクロでしかもBGMなしの日常で聞こえてくるような音だけを流しているような映画を初めて観た。
シンプル過ぎる作風なのに、じっくり観て聴いてみると、情報量が半端ない。
ストーリーに関係なく時折映る暖かみのある日常のちょっとした風景になぜだか涙が流れた。
ラスト、家政婦が子どもたちを助けに波をかきわけて海中へと飛び込んでいくシーンで波の音が映画館の右側のスピーカーから左側へと流れていく様な感じが、すごく臨場感があって夕日のなか皆が抱き合うシーンまで引き込まれた。
気づいたらボロ泣きしていた。
家政婦と子どもたちとの実の親子以上の深い心の結びつきを感じられる場面が何度かあってどれも印象に残った。
フンの始末をしている飼い犬にまでなつかれているのを見て少し笑いが込み上げてきた。
退屈とも思える作品なのに見入ってしまう。
万引き家族と一緒にノミネートされて受賞した作品。
1970年、メキシコの中産階級のよくある家庭とそこで住み込みで働く家政婦の話。家政婦のクレオの目線で描かれる。
父親が不倫して出て行ってしまう、家政婦のクレオが妊娠するも父親はクズで知らんぷり。義母・母・家政婦の女子たちが立場変われども1つ屋根の下で力強く生きていく様子を日常を通して間接的に伝えている。
長回しのカットと時々出てくる飛行機、犬の糞を掃除したり海で溺れそうになる水、が象徴的だったが見ながら何を意味しているのかまでは見抜けなかった。
たまに飛行機が飛んでるなー、これ撮影の時に写り込んだの?くらいにしか思わなかったが、複数回出てくるなら何かの象徴だろうという想像まではできた。
いくつか出てきた象徴を想像しながら作品を振り返ると2倍3倍と味が出てきそう。白黒もすべてを出すのではなく、色を想像させながらスリーリーの鮮明さも少し落としているのも、これまたスルメのように味が出てくる。
ツッコミどころや疑問点
●タイトル→メキシコでの話なのにローマ!?ネタバレ解説でメキシカーナ近郊の地域名だって。
●全裸でフェルミンが武道している姿→監督の強い思いだろうけど、ホーケーって(笑)
モノクロで鮮やかに彩る生と死の物語
およそ映画にはなりにくい地味な内容なのに、画面から目が離せない妙な引力がある作品です。モノクロ画面の中で描かれる生と死は、ひたすら美しく残酷だけど、喪失から再生のドラマとなる監督の手腕は素晴らしいの一言です。
劇場で観る機会に恵まれて幸運でした。
ずっと観ときたい♪
Netflix 限定公開作品を映画館で観られると云う至福の時っっ!!
(Thanks a heap, イオンシネマ茨木っっ!!)
Palme d'Or っぽい作品を劇場で観たのは中っか々に久っさし振り♪♪
(筆者註: 飽くまでも個人的な見解やし且つ、実際に Palme d'Or は獲っておりませぬ)
映画通を装ってる (?) アタクシ目線でも、全ての画面の構図が素ん晴らしく、その美しさばかりを両目でコレデモカと追っかけとったんやがダガシカシっっ、
ダガシカシっっ!!
アタクシの脳味噌はアタクシが気付かぬ内に物語にのめり込み、
やがて、アタクシの知らぬうちにアタクシの眼とアタクシの脳味噌が交差していくやーつwww
こー見えて (!?)
人として生まれて
人として育ち、
人として成長してきた (つもり) なアタクシには
終始物凄ぉ~く心穏やかに観続けラレタ映画◎
コノママ エイエン ニ オワラン トイテ トモ オモタ
涙も流すし笑うし怒るし困るし喜ぶし、
せやけど、いや、せやからこそ、
家族って嗚呼是愛おしいっっ!!!!
人生で 1、2を争うほど退屈な映画
ここのレビューの評価が高かったので観に行ったが、『猿の惑星』以来、久々に大ハズレを引いた。あまりにも平凡で退屈な展開に、ここで高評価をつけた人間にクレームを入れたい気分にすらなった。
ストーリーにまるで抑揚がなく、盛り上がる場面といえば、家政婦の子供が死産する場面と雇い主の子供が旅行中、海で溺れかける場面くらい。ここから面白い展開になりそう、という期待をことごとく裏切り、何事もなく漫然と時間だけが過ぎていく。
上映中、何度も溜息と眠気と帰りたい衝動が沸いたが、『いつか盛り上がる場面があるだろう』と期待して見続けたが、結局たいして盛り上がる場面もなく、最後の最後で観客を驚かせるどんでん返しでもあるのかと思いきや、なんにもないままエンドロール突入。
基本的な話としては、冴えない家政婦とその家政婦を妊娠させて逃げた最低男の話。冴えない雇い主の妻とその妻を捨てた最低な旦那の話。雇い主の家庭のごくごく平凡な日常生活を描いた話。
確かに音響は繊細で素晴らしいし、高画質のモノクロ映画の新鮮さはあったが、映像と音響以外に見るべきものはなにひとつとしてない。間違っても人には勧められない映画。
映画館で観るべし。
とても素晴らしい作品ですが、自宅で観るとなるとたぶん飽きます。わたしは絶対飽きて途中で脱落したはず。
なので、映画館へ行きましょう。
劇伴がなく、鳥の声とかタイルを洗うブラシの音とか、遠くで聞こえるモブの喧騒とか波の音とか、音がめちゃくちゃ繊細で、完全防音の部屋とかない限り、自分ちの窓の外の音に紛れて魅力半減必至でしょう。
Netflixは今は未加入ですがAmazon primeで海外ドラマをiPhoneで見てる身としましては、一般的なご家庭のインフラでは太刀打ちできまいと思います。
冒頭でクレアはタイルを水洗いしています。タイルを擦る音と水音、やがて現れる水たまりに空が写って、水たまりの空を飛行機が飛んでいきます。
生活音と白黒のみの世界でこんな凝ったことを!と、キュンとしまして、夢中になりました。
割と難しいし、わたしは(無知なので)ROAMがイタリアのローマのことだと思ったまま見終わりました。
メキシコシティにもなんとかローマって地域があって、タイトルはそこから取ってるって、後で知って、先にゆうといて!と思いました。
なのでネットでいい解説も色々みられるので、予習してもいいと思います。
クレオの武術オタの彼氏(未満)のアイツ、いきなりマッパで披露する演舞にビックリしたのと、映画館でクレオから妊娠を聞かされてトイレ行くくだり、絶対消えるよなーって思ってたら期待通り消えてくれるゲスでしたね。
何あれ?ほんでクレオが道場とやらに会いに行ったら恫喝してさぁ。何あれ?
死ねばいいのに!と思いました。
そして、アントニオ医師も死ねばいいのに!と思いました。
アントニオの妻がキツイ人で、クレオたちにも結構無体なことをゆうてましたが、夫がアレではね。
ちょっと同情なのでした。
クレオは妊娠しますが死産してしまいます。
そして、生まれてこないでって思ってたら死んでしまった、と、悔いを叫びました。
クレオの立場で、子を産むのが怖いって思うのは、仕方がない。誰だって思う。責めなくていいんだよ。
あなたに選べる道はなかった。
セックスしたこともわるいことじゃない。
どうか責めずに、できることをした自分をいたわってあげてほしい。
そう思いました。
彼氏未満のあいつは、なんかテロリスト?的な感じでした。
クレオが家具屋で暴動に巻き込まれた折、なんと彼氏未満のあいつが押し入ってきて、クレオと雇い主のおばあちゃんに銃を突きつけるところ、すっごくびっくりしました。
そしてクレオの破水へと繋がるのですが、中々にドラマチックでした。
スピルバーグ監督がアカデミー賞から動画配信サービス作品を除外すべきみたいな発言をしたことが話題になっていました。
カンヌ映画祭も数年前に動画配信サービスの作品を締め出しました。
動画配信サービスに映画館や映画産業が潰されちゃうという懸念が、そうさせたのだろうとは思うのですが、未知の脅威を排除するって、あからさまな差別じゃないですか。
多少は映画館も減るかもしれませんが、それは仕方がないことだと思います。人材は動画配信サービスの方でうけとめられるでしょ?動画配信サービス、いいですもん。便利ですもん。でも、映画館で見ないと面白くない作品も多いから、共存できると思いますよ。ROMAがまさにそういう作品ですもん。こんなん自宅のしょぼい設備でみても面白くないもの。
排除せずに共存できる道を探してほしいと思います。
(ネトフリのオリジナル映画は特にもっと映画館でやってほしいです)
このポスターの場面へ向けて全てが集約されてるストーリー。
メキシコの上流階級の家でお手伝いとして働く主人公とその家の家族の話。
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ネトフリは加入してないので見に行ってきました。元々ネトフリだけで配信だったけど、監督的には劇場で見ることを想定して作ったこともあり、,
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映画館で見るとカメラアングルと音響で自分たちもその空間にいるような雰囲気。後ろから鳥のさえずりが聞こえてきたり、最後の海のシーンはカメラ自体は大幅なブレはないものの、波が迫ってくる音でなかなかの迫力。
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そして数々の苦難を乗り越えた後に今まで家政婦だから端っこにいた主人公が真ん中に来て家族と抱き合うシーンは泣ける。多分このポスターを先に見てるから余計?.
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配信を否定してる訳では無いけど、家で注意力散漫の状態でこれを見ても何も記憶には残らないかもしれない。
ネット配信作品も劇場用映画も同等なのか
U.S.Aの映画祭で『外国語映画賞』を含む他の賞も獲得したという。あくまでもネット配信の作品である。アメリカにおいては、ネット配信の作品も「劇場用映画」も同じカテゴリーに含まれているということに、少し戸惑いを感じた。今後、日本の映画界にも多少の影響がありそうだ。
映画の作品名から、このサイトの作品のあらすじは、メキシコの中産階級の生活を描いているという。なぜ「ROMAVローマ」なんだろうと思った。
映画館でのモノクロを観るのは、久しぶりでもあり新鮮な気もした。画面にフェルミンの性器が、友情出演するが、そんな驚きもなかった。なぜか劇場用のオリジナルのヒューマンドラマ。Netflixによるネット配信の作品であるようだが、途中のデモや後半の海の波の迫力さは、映画作品として観ることができた。この作品はある中産階級の家庭を家政婦であるクレオの日常を中心に描いている。ほのぼのリアル感満載で、モノクロ好きな私には、気持ちよく観られた作品だ。
棒は棒で棒にすぎない
シネスイッチ銀座で鑑賞。
期せずして昭和感漂うスクリーンでその時代を描いた作品を観ることに。
二階席まである大空間、とてもいい雰囲気だったな…
Netflix会員ですが、これこそ劇場で観た方がいいのでは? という複数筋から情報により温存し、初見。
懸案の棒ブルンブルン場面は一片のごまかしもなく大画面で披露されて、興行主の心意気に感激しました。
戻れない過去への郷愁(は当然として)、に止まらず、これは現代でも形を変えて残る問題への告発を、自分の過去への落とし前として描いているのだと思います。
ただのノスタルジーに耽溺するのではなく、無知で無力な子供であった監督自身の贖罪にも似た思いを強く感じました。
その意図は、ファーストカットのカメラワークから、対をなすラストまで、決然と貫かれています。
なぜなら監督の分身である子供の立場からでなく、一家の外側にいる彼女の視点を通じて描かれているからです。
実は家で観なかったのには、日頃アート志向の作品を観ないため途中で飽きるではないか? 退屈するではないか? という危惧もあったのですが、どのシーンも意図が明確で、その心配は杞憂でした。
とくに登場シーン一発で父親の人間性を伝える演出が見事でした。
とはいえ背景となる70年代初頭のメキシコの政治状況などは、画面の端々からぼんやりとしか推察できなかったので、予備知識があればより深く理解できたかとは思います。
でも、それを抜きにしても、作品の核となるところは理解できたと思っています。
「棒」はただの棒でしかないのに、その体面を保つために弱い立場の者を踏みにじることは罪ではないのか?
むしろ、いたずらに棒を振りかざすことこそ弱さの表れではないのか? というところまで。
さすが「2018年の」アカデミー監督賞は伊達じゃないぜ、という。
過去作のセルフパロディなど、ところどころでクスリともさせられ、また終盤、クライマックスの場面では泣かされもしました。
モノクロ画面に映る情景はどう見ても往時のものにしか思えず、スピルバーグはじめ毀誉褒貶かまびすしいNetflixですが、この作品に予算を投じたことを評価しないわけにはいかないな…と思わされました。
追記
ラジオ番組でコンバットRECさんが恋人のお師匠のトレーニング場面の意味がわからないと述べられていましたが、あれはたぶん、お師匠以下、訓練された弟子たちにも持てない強さを(文字通り「ブレない芯を持つ」ことによって)彼女が体得している、というこでは?
まああそこまで長い必要あるかと言われるとわかりませんが…
やっぱり映画館で観たほうが絶対いいです
こういう作風は特に珍しくなく思ったよりも難解で退屈ではなかった。いやむしろ引き込まれたかな。モノクロで作って、ネットフリックスで配信する時点で、これは万人に魅せるための映画ではなく、自分が表現したいものを具現化しただけなのだろう。言わばライフワーク的作品、こういうのがあってもいいかなと思います。海辺のクライマックスシーンは感動的です。
エンドロールの話
恐く、ざわめいた。
どこかで飛行機の音がするかと思えば、映像に影が落ちる。
銃が発砲される音かなと思ったら、まさしく大人の遊びに興じる音であったり、騒乱の発砲であった。
恐かった。
騒然とする音や、動きがざわめいた。
最後に発見した。
あの飛行機の影は、CGだ。
エンドロールで、雲は動かないのに、
飛行機の影は動いていた。
ややパンを多用し過ぎていたが、
それ以外は、私の心がざわめいた良い映画だった。
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