「車庫入れが象徴する家族の崩壊」ROMA ローマ comaさんの映画レビュー(感想・評価)
車庫入れが象徴する家族の崩壊
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最初の掃除の水が最後の海の波のシーンにリンクしているよう。こどもふたりが波にのみこまれそうになるラストだが、夫の浮気によって家庭が崩壊していく、プチブルジョワの家庭の儚さなど、様々な波にのみこまれる家庭を暗示しているかのように感じる。
車を門の中に入れる車庫入れの場面が何度も描かれた
。夫アントニオは大きな傷をつけることはないが、車庫入れに手こずるし、犬のウンチを踏む。妻ソフィアに関しては、ガンガン車をぶつけ、車を傷だらけにする。中産階級には少し背伸びをしたような、とても大きく、とても高級な車。その車がどんどん傷だらけになっていく様は、身の丈以上のモノを使いこなせない印象を与えたし、家族の傷を可視化しているようだった。妻ソフィアが新しいコンパクトな車を買って帰ってきた時の車庫入れときたら、なんとスムーズなことか。車は移動するためのものであるし、新しい車は再出発にふさわしいものだろうと思った。
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