「不吉な予兆を追いかけて。」ROMA ローマ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
不吉な予兆を追いかけて。
気がついたら四回観てしまっていたが、繰り返し観たことでわかったことと、いまだにわからないことがある。
まるでどこかの家の日常を覗き見ているような映画だが、実はものすごく計算されて作られている。顕著なのが「子を失う」という展開を予見させる前振りの数々。例えばクレオが妊娠を雇い主に告げる時、幼いペペが泣いているクレオに気付く。雇い主(ペペの母親)が「クレオはお腹が痛いの」とその場しのぎの嘘をつくと、優しいペペは「痛いの飛んでけ」とクレオ気遣う。そしてクレオに宿った厄介ごと=子供は、死産という形で飛んで行ってしまうのだ。
不吉の予兆は他にもいくつもある。大晦日のパーティーで祝いの盃が割れるのがわかりやすいが、その直前に家政婦仲間が「子取り鬼でもくるっていうの?」と冗談を言う。しかし子取り鬼は来るのだ。クレオの子供を奪いに。本作の脚本は実に隠喩に満ちている。
わからないままのは、幼いペペが何者なのか?という疑問。ペペがたまに口にする「大きかった時の自分」の話は、いちいち予言的なのだ。ペペにはどこか異界と繋がっているような佇まいがある。一体キュアロンの真意はどこにあるのか? 掘れば掘るほど迷い込むのも、本作の魅力だと感じている。
コメント失礼いたします。
個人的な解釈なのですが、ぺぺはタルコフスキー映画のストーカーに出てくる子供のような、超常的な存在を純粋な子供として表しているのではないでしょうか?
それ以外にも、大晦日のミルク入りのお酒が割れる所もタルコフスキーのオマージュで死を予見していました。
水、炎、ミルク、故郷(望郷)など、かなりタルコフスキー色の強いモチーフが多かったので、そういう解釈で観ていました。
H1DE!さん
これもタルコフスキーのオマージュだと思います。
歌の内容は申し訳ございません。わかりません!