「監督こだわり再び」ROMA ローマ 巫女雷男さんの映画レビュー(感想・評価)
監督こだわり再び
「ゼログラビティ」のアルフォンソキュアロン監督。
ゼログラビティの時も撮影にこだわった話は有名だが、今回もやってくれてます。
白黒なのに6k高画質カメラって、、。
撮影アングルも独特、演出も独特。
芸術的要素に引き寄せられる人も居るだろう。
1970年代メキシコにて白人中流階級家庭の家政婦をしていた田舎村出身メキシコ人女性クレオの物語。
序盤からガレージ清掃を5分弱ぐらい観せられ、その後も彼女の行動を淡々と見せつけられる訳だから、淡々と映画を語る小津監督作品に似ていると言われるのには無理も無い。
話的に「地球と言う歴史の中では、これは些細なイチ女性の物語です。」的。それをイチドラマとして描いたから読み取れ!みたいな。
文学小説を読み取れるか取れないかに似ています。
内容的には残念な部分が私にはあります。
1.周りは喜び自分らは哀しむ等、対比構図が多過ぎ。
2.淡々とした話なのに、「ココは是非グッと来て下さい」的な部分が。
家具屋にて狙った様ないきなり暴動シーン。
赤ん坊の鼓動が聴こえない!と連呼する流産シーン。
海のシーン、私なら「助かって良かった」だけにする。
見せ場なのは分かりますよ。
しかし私にはそれまでの演出の良さが霞んでしまう。
いきなりハンドル切られた感じ。
素人の役者集まりなんだから逆に演技演出に走るとシラケる。
これじゃ今までの監督の立ち位置が分からなくなるよ。
何故かココに監督の欲が出てしまった感があり作品的には残念。ここまで淡々さを出したのだから貫いて頂きたかった。
3.お馬鹿なフェルミン君。バカチン過ぎる。3回クレオに交わるシーンはあるのだが、2回目は要らないかな。
4.お馬鹿な男が多過ぎなので、1人ぐらいはクレオに恋愛感情無しの身近な男性が欲しかったな。と。
例えば同じ雇われの運転手をいい感じに使うとか。
どこの国にも外国語映画賞として好かれそうだなというのは納得。
米アカデミー作品賞はアメリカの面目を保って「グリーンブック」にしたのかなと。
世界的ですが、あれはアメリカの賞ですからね。
私もどちらかを選ぶならグリーンブックかな。
芸術的要素があれば高評価だとは個人的に思って無くこの評価。申し訳ない。
二度目は観ないと思います。
追記:余談ですが、
「万引き家族」しかり、「カメラは止めるな!」しかり、「ROMA」しかり。オスカー等の主要映画賞の前の、国際映画祭の受賞煽りっぷりは辞めて頂きたい。
今の国際映画祭は客寄せパンダだ。
一般公開前の作品が多く時期的にも早すぎるし、更にそれに頼った煽り劇場予告を作りたがる。
軽薄な人達は寄りたがる。
ベルリン国際映画祭?ヴェネチア国際映画祭?
通ぶってこれらの映画祭の何を知っているの?
映画祭の受賞は無しにして頂きたい。
これ程つまらない煽りは無い。
巫女雷男さんへ
コメント、何時もありがとうございます!
以下、持論であって、どなたに対しての異論でもありませんので、最初に言っときますね。
この日は、オルガン->イップマン->Roma->グリーンブック(2回目) とハシゴしました。私にとって、イップマンに歓喜興奮するためにはRomaの様な映画が必要です。逆にRomaみたいな映画を冷静に眺めるためにはイップマンみたいな映画が必要。全ての映画が「芸術性(一応、この言葉を使いますが、そもそも映画の芸術性って何なの?と言う疑問は常に持っています)」を競うようになったら、俺は映画見るの止めます。そんな世の中、ツマラナイ。
今年は、結構な数リピートしてますが、目的は都度異なります。グリーンブックは字幕を気にせず、役者さんの演技に集中して観たかったので二回目に行きました。アリータは説明不要ですよねw
Romaはキュアロンの仕掛けた「なぞなぞ」を解きに行く気分です。と言うか、行きたくなって来ました。
アカデミー賞については、疑問の余地なくグリーンブックです!普遍性のある、後世に残したい映画はどっちや?と言われれば、迷う余地ありません。Romaはキュアロンの内的世界の暴露、という感が強いのでオスカーじゃ無いでしょ、と思う。外国映画賞は、「ハリウッドに対する当てこすり」的な一面があるので、まぁ、どうでも良いちゃ、どうでも良いかなぁ、と思います。
余談ですが、気になってネットで調べたら、メキシコシティのRomaの広場にはミケランジェロのダビデ像の「レプリカ」があるらしく。アイツが「偽物」であることの象徴が「フリ●ン」、と言う結論に至りました!絵に描いたようなクズに相応しい姿だと、次回は嘲笑しながら眺めますw
巫女雷男さんへ
私も見終わった直後は、「二回目は絶対に無い」と思ったのですが、数日経った今は、二回目行く気マンマンになってます!
私は、この手の象徴的な映像表現が詰め込まれている映画「も」好きですが、オスカーはグリーンブックで妥当だと思います。