劇場公開日 2019年3月9日

「女性の逞しさ」ROMA ローマ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5女性の逞しさ

2019年3月11日
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鑑賞方法:映画館

メキシコの中流白人家庭が舞台。
父親が医師、母親が教師という共働き、子ども4人。
主人公はそこに住み込みで勤める、若いメキシコ人家政婦。
1970~71年の約1年間に、この家庭と家政婦自身の身に、ショックな事が立て続けに起こる。

この話は、人種や地位を超えて「家族」とは何かを考えさせてくれると同時に。
ダメ人間に振り回されて傷ついた女性たちの、魂の再生の物語でもあった。

なるほど、『トゥモロー・ワールド』『(ゼロ・)グラビティ』で見せたような、丁寧な画面作りをしている。

デジタルでいくらでも鮮やかに仕上げられるこの時代に、あえてモノクロームで表現していたが、色がついていたらグロテスクなものもあったし、約49年前という懐かしさを感じさせる点もあったし、実に効果的な手法に思えた。
また、光を考え抜かれたカメラワークによって観る者の色の想像を喚起してくれ、かえってカラフルに感じた。

今のアカデミー賞には、実に合った作品であると思う。
個人的好みとしては悪くないが、エンタメ的ではない。
文芸的といおうか。
私小説のようといおうか。

劇場で集中して観るにはよいが、テレビ画面で観たら、眠くなるのも当然だった。
未だ、小津や木下の映画は、スクリーンじゃないと最後まで観る自信がないのに似て。

それにしても、白人からメキシコ人に至るまで、出てくる男性が全てクソ。
人間のクズの見本市状態なのは困った。
ちなみに犬の糞も出てきます。

対して、女性たちの繊細ながらも、なんと強くて逞しい姿が輝かしいのか。

(男女性差を口にするのはあまり好きじゃないですが、)女性を尊く感じさせてくれる映画でしたね。

一つ付け加えるなら、本作は紛れもなく映画。
調べてみたら、どの配給会社や映画制作会社も、本作に出資せず、監督がどうにか資金を集めて撮り終えた作品をNetflixが買い劇場配給とネット配信したというもの。
ネット配信前提のテレビドラマとは一線を画しています。

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コージィ日本犬