「生涯忘れられないシーンが一つ増えてしまう映画」ROMA ローマ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
生涯忘れられないシーンが一つ増えてしまう映画
モノクロ写実主義の、反ハリウッド映画と言うだけでは、こんなに震えたりしない。空を飛ぶ飛行機が足元に映る冒頭の画。最後は実体のある飛行機が飛ぶ空を見上げて終わります。この表現の意図はなんなんだろう。
クレオの病院のシーンは、生涯忘れないと思う。ヤリッツァ・アパリシオがオスカー獲っていたとしても納得する。今年のオリビア・コールマン受賞は、実績からも妥当だと思いますが、アパリシオにまたチャンスが巡って来ますように。
召使いとして働くインディオの少女と支配層の白人。学生運動と革命分子の内ゲバ。メキシコの当時の世相を映す一家の生活を、淡々と、ドキュメンタリーのごとく見せてくれる映画でした。小津的、イタリア映画みたい。確かにそうだが、これがメキシコ映画だ、ってキュアロンは胸を張って言って欲しい。
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追記(3月10日)
時間・時代・歴史等々の「流れに翻弄された人々の物語」と言ってしまえば、それまで。下層の者として蔑まれるインディオの家政婦少女。父親に見捨てられた妻と3人の子供達。その祖母。自分の力で何かを変える事も、止めることもできず、流れに飲まれながら生きることしかできない女達と子供達。
可哀想。いたいたしい。憐れ。傷ましい。不憫。
どんな境遇にあっても、少しだけの小さな愛情があれば良い。大好きだよと言える者が、言ってくれる者がそばにいてくれれば幸せを感じられる。
タイルの床の水膜に映る飛行機は水膜とともに消えてなくなる。飛び去る飛行機は、確かに空の上にあったとしても。不幸も幸せも、悲しみも喜びも、音を立てて飛び去り、通り過ぎ、いつか心の中から消えて行く。不幸は立ち去ることなく、そこにあり続けたとしても。
てな感じ。自分でも理由が判らないが、この映画の「滲み方」は尋常じゃ無かった。しかしながら、最近リピート癖がついている俺でも、二度は見ようと思わない。愛おしいけど辛すぎるんです。そんな絵画の様な美しさを持った映画でした。
H1DE!さんへ
これは本当にうろ覚えなので自信もてません。リピートもしないと思うので謎解釈と言うことにして下さい。でも、どんな歌だったっけ?笑
H1DE!さんへ
朧気な記憶と貧困なイマジネーションからの私見ですが…正直、よく覚えてないけどw
適切な単語を思いつかないので「生活臭」と言います。あの夜、クレオは屋敷を抜け出し目上のメイド仲間(親類)とローカルの飯屋に出掛けます。インディオメイド達のリアルな、生活臭さを伝えるエピソード。
対して、一大事とも言える山火事の消火場面でも、一定の逼迫した危機感はあれど、子供達がいたり、消火後に歌う者(山火事すら宴の一部であるが如くに)が居たりする様子は、ブルジョワ支配層の「生活臭」の稀薄さ、みたいなものを演出していたのではないでしょうか。
地味にダジャレ入れてみました…
後、やはり比べてしまう2作品ですが、内容の膨らませ方、演技、必要最低限の演出、作品の魅力の出し方を考えるとグリーンブックかなと。(比較して少し評価あげちゃったw)長文失礼しました。
コメントありがとうございます。
徐々に来てますか。。。
汲み取り芸術的作品ですので、好きな人は好きですからね。
書き直しているのも自分の心が揺れ動いているから。
象徴的シーンを引き出すならば、もう少し白人家族や仲間の家政婦を真面目に描いてくれればと思うのですよ。馬鹿フェルミン君要らんからw