女王陛下のお気に入りのレビュー・感想・評価
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寵愛を得る者
女性版大奥と聞いて観賞しました。 シスターフッドの関係を描いた作品は結構ありますが女性版のホモソーシャルものは中々珍しいと感じました。男性版はそれこそ沢山あるのに。 結局権力と感情が絡むと性別に関わらず泥沼になるよなぁと。滅茶苦茶床の事情が反映されている。 ラスト、アビゲイルが女王の唯一の寵愛を手にし地位も手に入れ勝利した様に映りますが、実際は女王の永遠に埋まらない空白を慰める為の道具になったに過ぎず。 幼い頃から寄り添い恐らく女王の本質を誰より理解していたであろうサラを結局は捨ててしまう 気まぐれで尊大で脆い女王様の気がいつまた変わるとも知れず、とても不穏な結末を迎えます。 結局このシステムから抜け出し穏やかそうな夫と共に暮らすサラが一番幸せだったのかも知れないです。(国外追放を受けていますが…) 女王宛の手紙をしたためるシーン好きだったな… 執着するのを止めさえされば酷く楽になれる筈なのにという…
女性のバトルが壮絶
この監督の作品は初めてだったけど最も好きな女優エマ・ストーンとかつて好きだった(久々見たな)レイチェル・ワイズがいい感じに女性のバトルを繰り広げる。そこにまあダメな女王を演じるオリビエ・コールマンの演技も絶妙に加わる。 ダンスを辞めさせるシーンで女王に顔面ドアップ長回しとかの演出は良かった!英国王室、女王とそれを取り巻く女達がテーマにもかかわらず、ふんだんに変態的な下ネタを散りばめているのも監督が鬼才と呼ばれる所以なのだろうか。 最後はなんじゃこの終わり方と思ったけど、ウサギと同じfavouriteの1つでしかないという理解で腹落ちしました。
言葉にできない。
バリー・リンドン」を思わせる映像美とリアリティ、絶妙なタイミングの音楽、ドロドロの欲望劇。キャラクターも魅力的、心理描写が秀逸、良かったところを挙げればきりがないけど、映画が終わった時の感動はなぜだか言葉にできない不思議なものでした!!
裏表あるエマストーンも悪くはないが・・
裏表あるエマ・ストーンも悪くはない。 終盤、もう一度立場がひっくり返るかと予想していたがそのようなことはなかった。なんか物足りないと思うのはきっと自分だけではあるまい。 あと、最後のぼかすような描き方は好き嫌いがわかれそう。
百合版
仁義なき戦い腹黒キングダム。 陰湿なシーソーゲームは エンドロールの中もその後も続いている。 エマストーンのオッパイは1回だけ。 あと、二回は見たかった笑 音楽の使い方やアングラエログロ加減がホドロフスキー作品のような既視感。 影響うけてるんでしょうかね〜。 とりあえず、 エマストーンは出なくてよかったんじゃないかなぁw
百合のやおい
チープに言えば中世ヨーロッパ版大奥なんだけど、もう、主要な女性が全員病んでるか打算か野心かでしか動いてなくて!!正義とか正論とか人道とか人権とかなにそれであなたは生き残れるとでも思ってるの???感がすごくてね!!先輩夫人の男装?も、エマストーンの貴婦人の装いも女王の甲冑も、普段セクシャリティとか小難しく考えてるのを全部焼け野原にする勢いで萌え上がったのですよ…!!!
顔、顔、顔
登場人物の顔、顔、顔。顔のアップの長廻しを多用する。 観るほうは精神力を消耗しながら、その顔に浮かぶ表情を読み取らなければならない。非常にしんどい映画鑑賞であった。 いずれ劣らぬ個性的な顔の女優三人だが、女王役のオリビア・コールマンの演技が白眉であった。 権力というものが一個の肉体である自らと不可分のものではないことへの焦燥や苛立ちを表わしたかと思えば、次の瞬間、自分こそが権力の源泉であることを傲慢に見せつける表情へと変わる。 女王という特別な立場にいる人間の、特殊な事情ではなく、自我を持つ全ての人間が味わう苦しみがそこには描かれている。
皮肉たっぷりの王室もの
王室版大奥と言われるこの作品、まさにって感じでした。 エマ・ストーンとレイチェル・ワイズの表には出さない奥底でのいがみ合いが面白かった。あとかなり体を張っている。 非常に自己中心的である、まぁそういった立場の人間なのだろうが、アン女王はあまり好みになれない人物ではある。彼女自身そう思われると思っているから、周りの人たちが気に入らないのだろうな。そんな彼女の"お気に入り"になり、地位を高める2人の女が奮闘する。戦争における国の勝敗を決める議会なんて気に入られるために利用するもの。ラストは、結局女王の"立場には逆らえない"ということなのだろうか。 ランティモス監督の独特な皮肉交じりの世界観、興味深かった。
生クリームたっぷりな世界観にエマ・ストーンというスパイス
個人評価:3.9 ヨルゴス・ランティモスが作り出す独特で不思議な世界に入り込んだエマ・ストーン。ハリウッドの旬な女優にとっては、まるでアリス・イン・ワンダーランド。 たっぷりな生クリームを入れた料理のような鬼才の作り出す世界観に、エマ・ストーンという食材が入る事により、鬼才の他作品とは違い、とても人間くさいドラマチックなハーモニーとなっている。 本作でもウサギやロブスターやダチョウもアクセントとして用いられ、人間と他の動物達との対比を物語っている。 ラストのシーンでは、地位を勝ち取ったエマ・ストーンも、所詮クイーンの前ではウサギにすぎないと皮肉を感じさせる。 映像とそれに溶け込んだ音楽も素晴らしく、達人が作った作品だと嫌が応にも感じさせられる。 クイーン役やエマもすばらしかったが、レイチェル・ワイズの猛者っぷりが光る。
嫌悪もここまで突き抜ければ清々しい
見てはいけないものを 覗き見させられてる感じ 清の欠片もない 臭い立つような画面 人間の業の愚かさ それをさらに突き詰める酷さ 家の存続も絶望的 国家の運営の重圧に加え 身体の不穏が日に日に重くなる 女王の不安と孤独が見え隠れ ヒステリーの中に哀しみが滲む。 政治的手腕と女王の信頼を鼻にかけ 国家を我が物のように動かすサラ 無知を圧して野心を燃やし あらゆる手を尽くすアビゲイル すったもんだの挙げ句に 彼女たちに訪れるものが これまた吐き気を誘うほどの胸騒ぎ それでも生きていく…それが人間 決してウサギではない。
おごれる者は久しからず
荘厳で豪奢な映像とは裏腹に、徹底的に描かれる人間の愚かさと醜さ。はっきり言って、観た後に爽快感や気持ちよさはありません。下品で目を背けたくなるシーンも多々あり。相手を負かし登り詰めるには手段を選ばないアビゲイルの姿が、職場の若い同僚と重なり、時代劇ながらゾッとしました。勝利と安心を手に入れた後の緩みと怠惰による報いの表現も秀逸。個性的なグラフィックと3人の女優の凄みのある演技力を含め、この表現力、見せ方こそが、各所での高評価を呼んだのか、と解釈しました。 一言で言えば、驕れる者は久しからず、が、このストーリーの要約でしょうか。女性にも痛風発症のリスクがあることと併せて、観賞後の教訓とします。
現代の悲劇詩人
今作も人間の可笑しさと悲しみを強烈な表現と緻密なイメージで観客の脳裏に焼き付ける。 物語の時代や設定が自分から遠い物だと思って笑っていると終盤にその嫌な足音がすぐそこまで来ている。 どの作品であっても初めて触れるひとに思考麻痺を起こさせる劇薬作家 ヨルゴス ランティモスの決定版。
女優3人の演技がすごい
キャスト、衣装、セット、全てが豪華でした ストーリーはドロドロ、それがまた面白かったです 孤独感を抱えるアン女王、その女王を操るサラ、野心だけのアビゲイルの3人の女性 最初は不運なアビゲイルを応援しながら観てましたが、途中からあまりの野心家に応援する気持ちも失せてきました 女王を操り自分の思うままに政治を動かそうとするサラの方に女王への愛情があったのではないかと思います 現実世界でも自分の耳に心地良い言葉ばかりを言う人よりたまには厳しい事を言ってくれる友達の方が信用できますもんね とにかくアン女王の抱える孤独感が悲しすぎました 皆さんのレビューにあるよう女優3人の演技が素晴らしいですが、ホッとさせてくれるニコラス・ホルトがとっても良かったです
豪華な衣装や宮殿には眼を見張り、圧巻のオリヴィア・コールマンをはじ...
豪華な衣装や宮殿には眼を見張り、圧巻のオリヴィア・コールマンをはじめとする芸達者な出演者達の演技はとても素晴らしかった。ただストーリーの前半は面白かったのだが単調で最後はこれで終わり?という中途半端な幕切れだった。
女の権力闘争
人類にとって民主主義の歴史は浅い。 共同体の最初は王政だった。文明初期の治水権をはじめとした諸権利を持つ者が共同体の王となり、王政のもとでは当然のごとくヒエラルキーが定められ、共同体は国家となり、国家の価値観がそのまま人々の価値観となった。差別は当然で、そもそも差別という言葉さえなかったに違いない。ヒエラルキーの下層にいる人々は不満しかなかっただろう。中には生に倦み、絶望して死ぬ者もいただろうが、大抵は生への執着を捨てきれず、恐怖と不安と苦しみの毎日を死ぬまで生きたに違いない。 時代が下って人々の連絡手段や交通手段が発達すると、不満を持つ人々の連携が生まれる。連携は連帯となり、やがて革命が起きて共同体は違う権力者によって統治される。初期の革命で成立した政治体制は、まだ十分な民主主義とは言えなかった。そして現代に至っても、民主主義は完成途上である。フランス革命のスローガンであった、自由、平等、友愛が実現されるにはまだまだ困難な道のりが残っている。 革命によって民主主義体制になっても、婦人参政権の実現は遅れた。イギリスでは、映画「Suffragette」(邦題「未来を花束にして」)に登場する20世紀初めのサフラジェットたちの活躍を待たねばならなかった。他にはもっと遅い国もあり、スイスでは婦人参政権が認められたのは1991年のことである。わずか28年前のことだ。 アン女王が統治した18世紀のはじめは、政治家は当然ながら全員男で、女は男に対して失礼があれば服を脱がされ鞭打ちの罰を受ける。女性差別も甚だしい時代だ。女たちはひたすら蹂躙されながら生きていた。唯一政治的な権限がある女は、他ならぬアン女王ただひとりである。従って女王の側近の女たちは国中で数少ない権力を持つチャンスのある女たちだ。もちろん自分自身で権力を持つことはできないが、アン女王を取り込めば権力者同然に振る舞える。 本作品はそんな女同士のエゲツない権力闘争を赤裸々に表現したものだ。脅しすかし、苦言と甘言、場合によっては肉欲にさえ訴えて、アンのお気に入りになろうとする。愚劣極まりないが、こういう権力闘争によって歴史が作られてきたのは事実である。人類の歴史は即ち負の遺産なのだ。 役者陣はみんな演技が達者で、エマ・ストーンももちろんだが、女王役を演じたオリビア・コールマンの演技が秀逸だった。サラを演じたレイチェル・ワイズとともに、スクリーンに広がる圧倒的な存在感で女の情念と女の計算高さ、そして女の肝っ玉を見せる。差別され虐げられてきてもなお、人類の存続の片棒を担ぎ続けてきた女というものの強かさをこれでもかとばかりに見せつけられた気がした。
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