プリズン・ランペイジのレビュー・感想・評価
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三バカ兄弟
三人の息子に良い父親像を植え付けていた母親は、ある意味で旦那に洗脳されていたかのような歪んだ家族愛。
まだ若く将来がある筈の三兄弟が起こしてしまった行動に理解は出来ないが、実話だからこそ馬鹿には出来ない怖さもあり、特に次男の父親に対する眼差しがイカれている。
ロバート・パトリックが絶対的な権力を持つ父親としての威厳が揺らぎながらも突き通す存在感を、見事な悪役像として演じ切っている。
興味深い実話ではあるが、三兄弟の心情を深く掘り下げる描写が少ない分、頭の悪い息子たちに思えてしまうのが残念。
マインドコントロールの恐ろしさを感じます。
脱獄したギャングとその友人。脱獄を手助けしたギャングの3人の息子たち。彼等は逃亡先としてメキシコを目指しますが、その際に通りがかりの市民を虐殺して行く・・・と言うストーリー。
実話をベースにした物語。正直、ここまで精神的に厳しい映画は滅多にないように思います。映画制作としては成功したと言うことなのでしょうが、落ち込みます。
命乞いをし、恐怖に慄く市民を躊躇なく撃ち殺すシーンは、リアルで救いがありません。
父親であるギャングの所業をみて、3人兄弟・・・特に長男が苦しみます。母親に聞いていた父親像との乖離があったのでしょう。良心の呵責と父親に対する恐怖で苦しみ悶えます。
父親は「家族の絆」を声高に叫びながら、子供たちをマインドコントロール下に置きます。
今の日本でも時々見られるマインドコントロールされた事件を思い起こされ、暗澹たる気持ちになります。いや、事件に限りません。戦時下の日本だって「天皇陛下の為に」の言葉が声高に叫ばれ神聖しされ、国民はマインドコントロールされていきました。そんなことも思い起こされ、とても重く暗い気持ちになる、そんな映画でした。
支配的な態度が恐ろしい
脱獄、逃走劇だけどその手腕に感心したのもつかの間、ゲーリーとランディの自己中心的で支配的な態度がひたすらに恐ろしく胸糞悪く、この逃走を応援する気にならない。
しかし一緒に逃げてる息子三兄弟のことを思うと「捕まってしまえ!」と思う気にもならない。
おそらく長いこと服役していてろくに家にいたこともない父親、毎週の面会と母親の刷り込み話からはだいぶ逸れたその本性に対する三兄弟それぞれの反応にヒリヒリする。
歌うシーンが好き。
それにしても母親の気持ち悪さはピカイチ。
「家族」というものに異常に囚われている気がする。
追う側のことも多めに描いてくれるので、どちらの目線になってもスリリングで楽しかった。
調べてみたら、ランディをベースにこの一連の事件に触れたネットの記事を一つ見つけた。
出来事としてはこの映画そのまんまで、本当に実話だったんだ…という後味の悪さ。
ゲーリーとランディがどういう関係だったのか、そのバックは映画内でもその記事でもよく分からずじまいだった。それが余計に気持ち悪く感じる。
血は呼びあう
1978年にアリゾナ州刑務所で実際に発生した脱獄事件に基づく話。
毎週日曜日に面会を欠かさなかったゲーリーの息子達3人の協力で脱獄したゲーリーとランディの極悪非道な振る舞いと、それに対する3人の子供たちのそれぞれ異なるリアクションに、恐ろしかったりか哀しかったりわいそうだったり胸クソ悪かったりと様々な感情が湧き上がる。
又、同じく毎週面会を欠かさなかった嫁の闇もなかなか気色悪い。
どこまで事実に沿っているのか知らないけれど、事件として興味深いし、映画としても非常に面白かった。
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