「不条理がまかり通る青春ファンタジー」キラー・メイズ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
不条理がまかり通る青春ファンタジー
おそらく無職のダメ男が、段ボールで迷路を作り始めたらとんでもない異空間への入口を作ってしまった!というお話で、創意工夫でポップとグロテスクを行き来するユーモラスな段ボール表現が目白押し。
ビジュアルの楽しさほどにはストーリーが跳ねないし、キャラクターの描き方も深みは感じないが、しかしそもそもが本作のコンセプトはシュールなファンタジーであって、整合性とかリアリズムに重きを置かなかったのは確信犯的な判断だったではないかと、垣間見える映画としてのヘタさも庇いたくなる。
劇中の迷路のすべてが主人公の妄想と自己嫌悪とルサンチマンが顕在化したものだと考えれば、恋人や仲間のサポートのおかげで自分で作り上げた殻から(殻というより蛹がメタファーになってたが)外へと踏み出す王道の青春映画だったんだと合点がいった。理屈は通らないけど気持ちはひしひしと伝わってくる、自分は決して嫌いになれないタイプの好編だった。
あとギョロ目を連発するインド系と思しきヒロインの可愛さも拾い物でした!
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