劇場公開日 2019年11月1日

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「原作を読み、鑑賞」マチネの終わりに Gingaさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5原作を読み、鑑賞

2023年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

前置き
唯一良かったのはパリのカフェで、"昼間に"蒔野と洋子が語り合う死に関する会話。あれは原作に近しかった。そして2人の演技も良かった。あのシーンだけは原作厨も見たほうがいい。(原作読んだときのイメージは夜だったし、そういう描写だった気がしたが手元に本がないので確認できない、ムール貝からのしじみにしてほしかったという思いは封印しよう)

いやぁ、ちょっと原作を読んだ身としては許せないなぁ。
脚本家の方には申し訳ないが、あの小説を支える根幹が失われていると感じてしまった。こんなぱぱっと大衆迎合的に描けるところだけ描く、みたいな映画にするのなら『マチネの終わりに』というタイトルは用いるべきじゃない。
孤高の天才として誰にも理解されない苦しみを感じつつも人生の壁にぶち当たる蒔野と複雑な背景と向き合い続ける洋子という余りにも魅力的すぎるキャラクターがこの物語を支えているのだが、1%もその魅力が醸し出されていない。
そもそもこの映画がヨーロッパを舞台に採れること、クラシックギター奏者という主人公を採れること、その全てに洋子の複雑なルーツが説明をつけるのに純ジャパじゃどうにも行かないでしょう。
ユーゴスラヴィア紛争やアメリカのイラク派兵、長崎の原爆、リーマンショックそして東日本大震災に関する思索は全部省かれて兵士さんがくれた硬貨!みたいな童話にすらならない話がでっち上げられて、、、流石にこれは酷くないか?
三谷、リチャードの描写だって少なすぎてただのやべぇ奴としか映らない。ソリッチが既に死んでるのには愕然とした。蒔野もおんなじ話何回もして気難しい芸術家みたいな。
*演奏会終わったらすぐ帰ってきた!みたいな顔してたけどマドリードとパリの距離知ってるか?
*4年半も舞台にも立たない、CDも出さない、どうやって生活しててん?
*最後のセントラルパークだって、池ちゃうんかい?セントラルパークで有名な池スポットあるやんけ、、、なんで噴水なん?
*洋子ニューヨークでめちゃくちゃいい家住んでたけど家賃いくらすると思ってんの???
*ジャリーラが入管にうんたらかんたらみたいな言ってたけどフランスで記者職ついてるような超スーパーエリート中東人がスラムで取材しただけで強制送還て舐めてんのか?
*洋子が蒔野とビデオ通話してるときの顔、もう既にPTSDやん、それじゃ意味ないんよ。てかそんなんに気付けないような男じゃないんよ、蒔野は!

こんなことしてたら日本の映画界には何も残らなくなると思う。
やりきれないのなら最初から手を付けるべきではない。
少なくとも『マチネの終わりに』のような後世に残すべき小説には。

Ginga