嘘はフィクサーのはじまりのレビュー・感想・評価
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リチャード・ギアはへっぽこな役が似合う
リチャード・ギアは、「『プリティ・ウーマン』の」という枕詞はさすがに通用しなくなってはいるが、それでもモテる二枚目俳優というイメージが強固にあった。しかし、実は『運命の女』の妻に浮気される夫とか、『シカゴ』のちゃらんぽらんな悪徳弁護士とか、情けなかったり軽かったりする役柄の方が本領を発揮するように思う。
本作では、口八丁で世の中を渡っていこうとするしょぼくれた山師役だが、舌先三寸の悪党とはちょっと違う。確かに調子のいいことは言うのだが、わりと本気で自分を親切だと信じている、自己暗示に長けたお人好しのキャラクターなのだ。
プロット自体はかなりブラックな風刺劇なのだが、ギアが本作に可笑しさや温かさみたいなものを与えていて、山師の話なのに微笑ましく観てしまう。ところがあるところで大きく展開して悲劇に突き進むのだが、ギアの持ち味によって落差がよりドラマ性を高めてくれている。多少ぎこちないところある映画だが、ギアのおかげでブラックなのに好感が持てる仕上がりになっていると感じた。
タイトルなし
展開を端折り過ぎて、登場人物も多く、分かりにくい。嘘を次から次へと言うフィクサー?リチャードギアがなぜラスト自殺したのかわからない。要人と要人を知ってると言って引き合わせ、それによる恩恵を受ける、しかし、本人には行き渡らず、誰も彼のことを知らないという不幸せ。
人生は妥協の連続
なんだか一人フェイスブックをして、どんどん人脈だけを広げてしまってる男のような気がしたノーマン(リチャード・ギア)。普通なら取引の仲介をして紹介料・手数料でガッポリ儲ける仕事なんだろうけど、それは序盤に出てきた話のみで、彼が儲けてる節が全くないのです。詐欺師のようでもあり、誰も損してない。さすがにラビのスティーブ・ブシェミだけは教会を手放さなきゃならないんだろうけど・・・
徐々にリチャード・ギア演ずるノーマンのキャラがわかりつつあるのですが、彼の友人たちと同じく出身・住居・家族構成など知る由もない。みんな損をしていないらしいし、彼の収入すら見当もつかない。想像するに、儲けてるのは親友の弁護士だけ。逆に考えてみれば、弁護士に踊らされてたとも考えられるのです。
「え、自分だったのか?」という展開は簡単に予想できる範囲だったけど、終盤に自分と似たようなフィクサーの男に声を掛けられるのは面白かった。そして、エシェル首相の息子がハーバードに入学したこともあるし、汚職じゃなくても裏口入学で罰せられるのも時間の問題か・・・
誇大妄想者の悲劇
ブラックコメディ、なんでしょね。
Normanと言う個人名がタイトルなんで、この、法螺ばっかり吹いている妄想男性の人生を描いたもの。自らの命で落とし前をつけた、フィクサー以下の詐欺師の話。何にFocusしたのか、よく判らない物語でした。イスラエルって、へんな映画作るよな、ってのが、先の「運命は踊る」と併せた感想です。
盛り上がりに欠ける
リチャード・ギアの演技や表情がいいのでついつい見れてしまうのが良くない。
終始盛り上がりに欠けて鬱屈した不快感だけで終わってしまった。
だいたい最後死ぬ必要あったのだろうか?
正体不明の男なので追うことができず証人喚問出来ないと言うなら、雲隠れするだけでよかったのではないか。そうでないならたとえ死んだとしても死因が怪し過ぎて大統領の疑惑は晴れないように思うのだが。
じゃあ落ちが悲劇的でブラックなのはまあ良しとしよう。だとしたらもっと中盤でノーマンが成功したシーンが欲しかった。
序盤に自分の賭けた人物が大統領になった以降はひたすら「電話がうまくいかない」シーンの連続でイライラしっぱなし。どこかで様々なものが繋がり一つになるのかと思いきや、大して盛り上がらず終わる。
自分の意図を超えて大物になってしまい、遂には黒幕になっていた、というプロットならもっとノーマンの事を本人がいない場所で「あいつは凄い奴だ」というシーンでもないと説得力が無い。
ノーマン側からの描写を主体にしてしまったのが良くなかったのかもしれない。
例えば大統領からの視点をメインにして描写するとどうだろう。友情を感じる男がコネクションを駆使して助けてくれるが、ふと気づくと相手の正体が全くわからない。ノーマンの神秘性と大統領との関係を強調する形だ。
そうなると終盤の大統領の心理にも説得力が増すかもしれない。
私の解釈だがラストの大統領の塩対応は、国民の為に苦渋の選択をしたのではなくノーマンとの関係から目が覚めたのだと思う。中盤の奥さんとベットでの会話に象徴されている、「あなたはあの人に友情を感じているのではなく、都合良く利用しているだけ」
一見ノーマンが大統領の友情を利用して成り上がっているようで、ノーマンが利用されて周りが利を得ている。
だから最後の電話の時には既に気づいていたのかもしれない、ノーマンに感じていた友情は幻想だったと。
実際最後にノーマンにかけた優しい言葉も一切心にもない事が、最後に投げ捨てられたケータイで表されている。
描写次第で化けるとは思うが、結局は小物詐欺師が身の丈に合わない事をして死ぬ話ってだけになってしまった。
☆☆☆★★ 簡単に。 忖度コメディーとの触れ込みなれど、観客に対す...
☆☆☆★★
簡単に。
忖度コメディーとの触れ込みなれど、観客に対する忖度は無い。
とにかく省略による省略で構成されているので、観客には分かりづらい。
そこはそれ「言わんでも分かるでしょ!いや察してくれ!その程度の事なら頼む」…と如くに。
例えば、初めてエシェルと接触する場面。
エシェルとノーマンの関係を目の当たりにして寄って来る人達。
ラスト前のノーマンの決断と、教会の奥の一文等。最低限の説明に留めている。
コメディーと言うよりも、ほろ苦い人間ドラマでした。ユダヤ社会に精通しているとより分かりやすいのでしょう。
その考え方や、他人との接し方等を知っているなら特に。
アメリカ映画を観ていると、矢鱈と怒りに任せて暴力的になる場面を見受ける時が有りますが。「それ日本でやったら一巻の終わりだよなあ〜」…と、冷静に考えてしまう様に。
作品中に、エシェルからノーマンへ2度電話が来る。
本来怪し過ぎる程の男なのに、ある程度の地位に有る自分。自由な買物すらままならない自国の状況。1人寂しい夜にフッと思い出した様に、自分に対して親切にしてくれたお礼を。
そして終盤には、敢えて裏切りを示唆する電話を。
しかし、ノーマンはその全てを受け入り「私は裏切りません」と言う。
何処の馬の骨とも分からない自分を受け入れてくれた事に感謝を込めて。
更に…。
鑑賞後は自宅近くの百均で発泡酒を購入。
今日のつまみは作品中にエシェルがつまんでいたチョコレートに決めた。
安くてもチョコレートはチョコレート。しっかりとほろ苦く映画の余韻を再度味わう。
2018年11月7日 シネスイッチ銀座2
これがリチャード・ギア⁉︎
極悪な詐欺師ではなさそうだが、常に胡散臭い主人公。若くもないのに鞄を斜めがけにした社会人って、「出来なさそう」に見える。そんな彼が苦労はしつつも投資家の間に何とか入り込む。時には家から追い出されながら。
少しは勘が働くのか、偶々目をつけ、値段もわからずランバンの靴をプレゼントした相手が3年後にイスラエルの首相になり、運命が好転。ニューヨークのユダヤ人社会と、イスラエルが交互に描かれる。主人公は常に色んな人にネゴシエートし、誰かを紹介し、人脈を築こうとしている。
良いことも長くは続かないのが世の常で、友達になった首相が失脚の危機に。しかも原因は私?みたいな。
なんだ、結局は小者の詐欺師じゃないか、と思わせ、しかし実は、首相の息子は念願通りハーバードに入学し、礼拝所は資金難をくぐり抜け、甥はラビに式を挙げてもらって韓国人女性と結婚でき、彼の関わったことは全て実を結んでいたのだった。
人生はどう転ぶか誰にもわからない
予告編を見て面白そうだと思い、公開日初日に行ってきました。
さすが名優リチャード・ギアでした!
彼が演じるノーマン・オッペンハイマーが有力者と接点を持とうと次々と嘘を重ねて繋ぎ合わせようとするのですが、最後にどんでん返しがありました!
もう一人のフィクサーがノーマンの知らないところで彼の思惑通りに事を運び、いつの間にか解決するという。
それを知ったノーマンは禁断のナッツを食べて自害しようとする展開で終わりました。
やはり、嘘を重ねっぱなしは自分の首を締めてしまうので良くないですね。
ノーマンも首相役の人も心に響く名言がありました。
“人生はどう転ぶか誰にもわからない“
あと、もう一人のフィクサーがどのように事を運んだか見たかったです。
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