「リチャード・ギアはへっぽこな役が似合う」嘘はフィクサーのはじまり バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
リチャード・ギアはへっぽこな役が似合う
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リチャード・ギアは、「『プリティ・ウーマン』の」という枕詞はさすがに通用しなくなってはいるが、それでもモテる二枚目俳優というイメージが強固にあった。しかし、実は『運命の女』の妻に浮気される夫とか、『シカゴ』のちゃらんぽらんな悪徳弁護士とか、情けなかったり軽かったりする役柄の方が本領を発揮するように思う。
本作では、口八丁で世の中を渡っていこうとするしょぼくれた山師役だが、舌先三寸の悪党とはちょっと違う。確かに調子のいいことは言うのだが、わりと本気で自分を親切だと信じている、自己暗示に長けたお人好しのキャラクターなのだ。
プロット自体はかなりブラックな風刺劇なのだが、ギアが本作に可笑しさや温かさみたいなものを与えていて、山師の話なのに微笑ましく観てしまう。ところがあるところで大きく展開して悲劇に突き進むのだが、ギアの持ち味によって落差がよりドラマ性を高めてくれている。多少ぎこちないところある映画だが、ギアのおかげでブラックなのに好感が持てる仕上がりになっていると感じた。
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