「恋愛劇として浅い」マチルダ 禁断の恋 しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)
恋愛劇として浅い
最後のロシア皇帝ニコライ2世は父の死去により戴冠式、そして結婚式を迎えなくてはならない。定められた結婚相手はドイツの大公の王女アリックス。しかし、ニコライはバレリーナのマチルダと恋に落ちる。
優雅な宮廷劇かと思っていたら、意外にもストーリー展開はテンポよく進む。戴冠式、結婚式を期限とするタイムリミットサスペンスでもあるのだが、この緊張感はいまひとつ。
恋愛要素が深められていないのだ。
男が浅はかなのは分かった(父親からも中身は子供と言われていた)。
いずれにしろ、この2人が惹かれ合う必然性が浅い。脚本が浅いのだ。
もしかしたらマチルダは、身分というものへの復讐をしている女なのかも知れない。
それなら、それで面白かったとは思う。
そして、ニコライにとってマチルダとの恋は、皇帝となる重圧から逃れる現実逃避の手段だったのかもしれない。
ただ、登場人物の造形としての説得力は弱い。
売りのはずのバレエのシーンも、ぶつ切りで、なかなか落ち着いて見せてもらえず、しかも、ストーリーにうまく位置付けられていない。
見どころは宮殿などの美術。帝政ロシア最後の煌めきを堪能できる。
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