「電話は電話で、手紙は手紙でどっちもいい。原作は原作で、アニメはアニメでどっちもいい…」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 澤木正克(アンギラズ)さんの映画レビュー(感想・評価)
電話は電話で、手紙は手紙でどっちもいい。原作は原作で、アニメはアニメでどっちもいい…
想像を遙かに上回る素晴らしい作品でした。
自分は原作がとても好きで、特に、ヴァイオレット、ホッチンズ、ヴェネディクト、カトレアのCH創設メンバーとラックスの5人の関係がとても好きでした。
先日完結した、原作最後のエピソードでも5人とギルベルトの関係が鍵になってました。
なので、テレビシリーズでCHメンバーの関係が微妙に変更されたのは少し残念に思いました。ヴァイオレットはCHの新人となり、そのためヴェネディクトやカトレアとの関係は原作と変わってしまいました。また、原作屈指のキャラクターであるラックスは居なくなり、代わりにアイリスとエリカという別のキャラクターが追加された為、ラックス関連のエピソードは全て無くなってしまい、そこも残念でした。
が、京アニ版ヴァイオレット・エヴァーガーデンは徐々に原作とは違う輝きを発揮し始めます。
それでも、テレビシリーズと外伝は設定こそ違うまでも原作エピソードを踏襲したものでした、がこの劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンは原作には全くない、完全オリジナルストーリーでした。
そうなってしまった理由は原作とアニメでギルベルトの扱いが違うためなのですが、これこそがアニメ版で本当に描きたかったものだと思います。
原作ではギルベルトの生死は早々に示唆され、ヴァイオレットとも割と早い段階で再会したにもかかわらず、2人の関係はなかなか進展せず、それを通じてホッチンズやヴェネディクトの葛藤や会社の未来が示唆される形で締めくくられましたが、この劇場版は完全オリジナルであるにも関わらずその辺りの原作のエッセンスもしっかりと描かれてたと思います。然も申し分ない無い形で。まさか未来の視点まで入ってくるとは思いませんでしたが素晴らしかったです。原作で丁寧に丁寧に描かれたホッチンズの心情が花火を見上げ、その感想を語ろうと不動産振り返るとそこにいつも居た人は居ない…というあの1シーンに集約されていたと思います。見事です。
一番懸念していた、ギルベルトとどうやって出会うのかというところ、こちらもまさかの展開で見事でした。
また、アイリスが「忌々しい機械」と苦々しく見つめる電話を少年の想いを遂げる為に使うところも見事でした。
単に電話を悪者にして手紙を持ち上げるような陳腐な事はせず、電話も手紙もどちらも別の素晴らしさがあること、それでも時代の流れには逆らえないこと、それすら否定的ではなく最後にはやっぱり手紙の素晴らしさを改めてつたえる構成、見事と言うしかありません。
エンドロールも含め、終始涙が止まりませんでした。
原作は今でも大好きですが、劇場版含めたアニメシリーズも同じく大好きになりました。
私も原作読んだ派なのですが、ラックス出ないのは残念ですよね!そこは凄く思います。
でも、おっしゃるようにアニメはアニメ、原作は原作でどちらも素晴らしいです‼️