「シリーズ初見の方にはおすすめしません」劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal 前編 チルトティーさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ初見の方にはおすすめしません
昨年春のシリーズ一挙配信からセーラームーンにハマり、旧作無印~スターズ、原作全巻を見てから行きました。(Crystal1~3期は未見)
良かった点
・芸能人除く声優の演技。特にうさぎ以外の内部戦士は旧作の雰囲気を引き継いでおり違和感なく見れる。うさぎは声を張るシーンではキツい所もあるが及第点。アマゾントリオも実力派中堅声優で固めていてよかった。
・キャラクターデザインに旧アニメシリーズの初代担当只野氏を起用しており、無印~Rの頃のかわいらしいデザインを現代らしくスタイリッシュにバージョンアップした物になっている。
悪かった点
・脚本がほぼ原作のコピペ。前編は原作でも1話完結のエピソードが多いのでテレビアニメを数話連続で観ている印象。展開も「仲間の1人が悩む→敵に襲われる→自分の潜在意識や相棒からパワーを貰い覚醒して撃退」の繰り返しなのでかなりダレてくる。
・またちょこちょこカットしている部分もあるので、さっきまでいたキャラがいきなり消えたりキャラクターの行動と意思が噛み合ってないように感じる場面も。
・漫画では許される長い説明セリフを切るために他のキャラが「○○?」とおうむ返しを繰り返す場面もあり脚本が下手。
・これまでのあらすじやキャラクター紹介のパートが一切なく、特に序盤は展開が速いため初見だとかなり理解しづらい。
・一番のキモである変身シーンが旧作の劣化コピー。旧作では素晴らしかった音楽も今作では印象に残らない。
・数少ない改変であるホークスアイの最後のセリフも、何の意図があって入れたのか不明。人間味が出た事で後味が悪くなっただけでは?後編に伏線として生きてくると思いたいですが、原作の内容だとこれ以降ジュピターに活躍シーンはありません。
・エンディング曲として旧シリーズSSの「私たちになりたくて」が流れるがスタッフロールの2曲目という中途半端さ。劇中の盛り上がる場面で聴きたかった。
コンビニにゲームにグッズにとコラボ三昧な当作品ですが、監督はじめとするスタッフは「ノルマ消化」として作っているような印象を受けます。
原作ファン向けのOVAであればこの内容でも問題ないですが、宣伝で旧Sシリーズのオープニングの一場面やムーンライト伝説を使っていかにも「旧アニメシリーズのリメイクですよ」な雰囲気を出しておいてこの内容では詐欺と言われても仕方ないのでは?
私は鑑賞前にCrystalシリーズの評判やこの映画がCrystalの続編である事を理解してから行きましたが、さすがにエピソードの順を入れ替えるなり同時進行にするなりアレンジを加えてくるので印象が変わるかもしれないと期待していたのでかなりがっかりしました。
後編も観に行く予定ですが、かなりハードルを下げてから行きます。