「混沌と殺戮」ボーダーライン ソルジャーズ・デイ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
混沌と殺戮
バイオレンス満載の脚本で…エグい。
どうやら続編があるようで、実のところ何一つ解決しない本作品。
いや、濃密な序章とでも言うのだろうか。
脚本の核と思ってた部分が、劇変するので戸惑いもするのだが、コレどうなってくんだろうとドキドキもする。
冒頭で語られた「カルテルを混乱に突き落とす」という目的はどこへやら…終幕では、1年後の世界になってた。
勿論、呆然とはするのだが…今後、語られるであろう物語からはヤバイ匂いしかしない。
元々が、テロリストの米国への進入を防ぐ為に、密入国のルートを牛耳るメキシコの麻薬カルテルを撲滅するって目的だった。
その方法が、アメリカ政府主導の元、敵対勢力を装いカルテル同士に抗争させるって作戦。
即効性の効果がある作戦とは思えず、抗争が激化し組織が弱体化してからようやく本作戦が始動するような作戦概要だった。
てっきり、その抗争への一部始終なのかと思ってたら1年後って結末。
どんな状況になってるかは語られない。
抗争が起こってるのか、それとも…そんな幕引きだった。
この状況を想像させる要因たちが、もの凄く説得力があって釘付けになる。
主人公のバックボーンもそうなんだけど、カルテルのボスの娘を誘拐する作戦の周到さとか、銃による殺害の仕方とか、その後の死体の扱われ方とか、操り人形の糸が切れたかの如く絶命する人間とか、まぁ凄惨極まりない。
人を殺す事に躊躇もなく、至って合理的なプロ意識とかを感じる程だ。
これらのバイオレンスを凌駕させると思わせるデルトロの眼力は異常な程である。
実のところ、終盤ではアメリカ政府は撤収して、作戦の後片付けとして証人たちの殺害を命令する。
無かった事にしようとするのだ。
だが、しかし。
実行部隊の主人公は生きてるし、作戦の鍵となるボスの娘も生きてる。
彼女は証人として生存してるはずなのだ。
そして、おそらくなら作戦は独り歩きし、主人公達がばら撒いた抗争の火種は猛火の如く燃え上がってるはずなのだ。
次回作で語られるであろうその後の世界。
どんな修羅に出会うのか…戦々恐々としながら公開を待ちたい。
重低音で響くBGMが混沌とした世界観を見事に表現してくれてた。
基本的にこおいう作風は好きではないのだが、こおいう作風を語るにあたりマイナスする要素が無いと思えたので★5…。