「空虚な試み」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド タランティン・クエンティーノさんの映画レビュー(感想・評価)
空虚な試み
クリックして本文を読む
「歴史は変えられない。」
その圧倒的な事実に対して、それでもなおささやかな抵抗をしようとする空虚な試みのような映画だ。
「マカロニ・ウエスタン」という、監督が最も敬愛するもののひとつを武器にして、負の歴史の修正を試みる。
言い換えれば、タランティーノは、自分が大好きだったものが奪われてしまった現実の事件を、自分が大好きなものを使って、自分が大好きな世界の中だけで修正するのだ。なんと空虚で寂しい試みなのだろう。
しかしそれでも、自分自身の癒やしのために、そしてこの事件で失われたすべてのものへの追悼のために、映画のラストシーンでタイトルが画面にあらわれてこう語りかけるのだ。
「Once Upon A Time In Hollywood(むかしむかし、ハリウッドで・・・)」
コメントする