「自分には敷居が高かった…」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
自分には敷居が高かった…
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの友情を軸に、古きよきハリウッドを描いており、映画通にはたまらない作品だと思います。前半は落ちぶれた役者リック・ダルトン中心に描かれ、思うような演技ができず、もがき苦しむさまを、ディカプリオが見事に演じていたと思います。とくに子役の少女との会話や控室での荒れぐあいは、彼の弱さが際立つ、いいシーンだと感じました。
後半はブラピがグイグイと存在感を増してくるというか、彼が演じるクリフ・ブース中心に描かれます。プラピの年齢を感じさせない肉体と、大人の余裕からくる渋さがかっこよく、さすがの大物ぶりでした。他にも、マーゴット・ロビー、アル・パチーノ 、カート・ラッセルなど、豪華俳優陣が顔を並べているのも、見どころの一つだと思います。
しかし、これだけの大物をそろえても、ストーリーに魅力がないため、なかなか作品世界に浸れず、加えてテンポもきわめてゆったりなので、正直言って退屈で眠くなりました。そんな眠気との格闘中に、メインストーリーに深く関わらない人物が次から次へと現れてはいろいろなことを話していくのですが、情報量が多すぎてまったくついていけませんでした。当時の映画事情に詳しい人ならいざ知らず、自分にはチンプンカンプンで、そもそも会話の内容が史実に基づいているのかフィクションなのかさえわかりませんでした。
終盤になって唐突にいろいろな話が噛み合い始めましたが、それでも意味がよくわらないまま終わってしまいました。いったい本作をどのように鑑賞すればよかったのかわからず、鑑賞後にいくつかのレビューを読んでようやく少しだけ理解しました。シャロン・テート事件やマンソン・ファミリーなど、こんなに予備知識が必要だとは思いませんでした。映画通でもなければ、映画史に精通しているわけでもない自分のような者には、敷居が高すぎる作品でした。