「ハリウッド・愛・おとぎ話」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド・愛・おとぎ話
マジかよこの展開!!とは言っておこう...。
インタビューか何かで読んだけれどアルフォンソ・キュアロンにとっての「ROMA」すなわち1970年のメキシコシティが、クエンティン・タランティーノにとっての「1969年のハリウッド」ということである。即ちこれは彼が幼い頃の郷愁に満ちた文字通り「おとぎ話」な訳だ。
非常に凝ったつくりになっていて、この映画を観ただけで何本分かの映画を観た気持ちになる。私は60年代に詳しくないけれど、そういうのが好きな人ならもっともっと多くのトリビアを見つけられるのではないだろうか。個人的にはシャロン・テートが「テス」の初版本を買いに行くシーンにものすごくぐっときてしまった。
レオナルド・ディカプリオがよく泣き自分に怒りをぶつけたり悄気たり、本当に落ち目の男ぶりがかわいいというか...。受けるブラッド・ピットは色々抱えていたんですねえ、という感じを漂わせながら何故かいきなり脱いでみたり(謎のお得シーンだ)、緊迫する部分を引き受けてみたり。このふたりの圧倒的存在感。
マーゴット・ロビーのシャロン・テートはただただキュート。自分の出てる映画を観て観客の反応にはしゃぐ彼女の魅力爆発といった感じである。
1969年2月8日から始まる物語がいつ核心の「1969年8月9日」にゆくのかと思っていたら、後半の「ドラマまとめ」を見ているかのような目紛しい展開...の後に衝撃の当日が訪れる。これ、予習しないと面白み全然分からないから予習していってくださいね。「おとぎ話」とはこういうことなのか。抑制効き気味のそれまでを全て華麗にひっくり返す怒涛。笑って良いのか迷うが、多分笑って良いのだろう。個人的には大いに楽しめました。