劇場公開日 2019年8月30日

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「ハリウッドへのレクイエムであり、同時にアンセム!!」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ハリウッドへのレクイエムであり、同時にアンセム!!

2019年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

落ち目の活劇俳優と、彼に影のように寄り添う寡黙なスタントマンを主軸に、1969年のハリウッドが画面に蘇る。映画がTVに浸食され始め、通りを不穏な集団が闊歩する当時の雰囲気を再現しようとする監督、タランティーノのタッチは、愛情に満ち溢れていて、見ていてとても心地いい。それは、たとえリアルタイマーでなくても感じ取れるはずだ。実在するスターの意外な素顔、パーティシーンが醸し出す刹那的なムード、60'sファッション、人気のメキンカン・レストラン、車、整髪料、等々、登場する人物やアイテムが、映画好きは勿論、カルチャーに敏感な人のアンテナを刺激するに違いないからだ。また、この映画を見てロマン・ポランスキーとシャロン・テートについて調べてみたいと思う人もいるはずだ。狂気に巻き込まれた劇的に不幸なカップルのことを。それも含めて、これはタランティーノによる古き良き、もしかして、悪しきハリウッドへのレクイエムであり、同時にアンセムでもある。悲しいほどに無邪気で明るいシャロン・テート役のマーゴット・ロビーもいいけれど、前半は影が薄くて、後半俄然存在感を発揮し始めるスタントマン役のブラッド・ピットが、噂通り凄い。実年齢を超越しているマッチョな上半身を見れば分かる通り、彼はやっぱり究極のナルシスト。これほど俳優に向いている俳優はいない。是非とも、今後しばらくはこの生業を続けていって欲しいものだ。

清藤秀人