雨の首ふり坂のレビュー・感想・評価
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因果の糸車…逃れられぬ過去
時代劇専門チャンネル開局20周年記念作品。
サンテレビ「年末時代劇」で鑑賞(録画)。
原作は未読。
最近、ハードボイルドが胸に沁みる。
歳を重ねたからだろうか?(今年28歳)
初老の渡世人が挑む、最後の大勝負。因果は巡る糸車だ。追い掛けて来た過去との対峙は、これまでの行いへの報いか。
心の襞が丁寧に描かれていて、心揺さぶられた。辿り着いた穏やかな暮らしを守るため、仁義に散る。哀愁が漂った。
[余談]
劇伴が洋風だったのは如何なものか?
ハードボイルド的には良いけれど、時代劇にはそぐわない。
雰囲気を壊しているように感じた。
[追記(2024/12/01)]
再見して、上記余談に書いたことは全く感じなかった。斬新であるし、寧ろ味わいがあって、悪くないなと思った。
[以降の鑑賞記録]
2024/12/01:Amazon Prime Video(時代劇専門チャンネルNET)
※修正(2024/12/01)
親分衆や切られ役って大事だったのですね
渡世人ハードボイルド
池波正太郎が自身の小説「雨の杖つき坂」を新国劇の島田正吾の為に戯曲化した「雨の首ふり坂」を中村梅雀主演で映像化した本作は、侍が登場せず、博徒達によって繰り広げられる迫力ある殺陣から、時代劇版「アウトレイジ」と言えると思う。
主人公の白須賀の源七は藪塚の半蔵とコンビで、殺しを請け負う渡世人稼業で諸国を渡り歩いている。
ところが、ある親分殺しを請け負ったことから運命が流転していく。
そして、それから25年後の主人公は運命に導かれるように、首ふり坂のある小諸宿に流れ着く。
この作品は皮肉な縁の巡り合わせのドラマと言えると思うが、作品的には全く異質ではあるが、「スター・ウォーズ」で描かれる一族のドラマと相通ずるものがある。
そして、時代劇とミスマッチ感のあるEGO-WRAPPINGが音楽を担当していて、作品の枠組みに囚われないアウトローたちのハードボイルドなドラマを展開させていく。
安定や安住を拒否して流れ流れた先にあるものに、何とも言えない男の哀愁が漂う。
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