劇場公開日 2018年9月1日

「2018年鑑賞の記録」あみこ La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

2018年鑑賞の記録

2024年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 このポスターにまず目を吸い寄せられました。不貞腐れてこちらを睨む女子高生の視線がとっても魅力的です。周囲とどうしても馴染めない自意識を持て余しながら、「なんだよぉ~おら~」って開き直る声が聞こえて来そうです。ぐじゃぐじゃしたこの現実を「どりゃぁ~」っと切り裂いて行く映画なんだろうと期待させます。

 しかも、本作を制作した山中瑤子監督は撮影時にはまだ19歳で、スタッフもSNSを通じて募集したという話題性にも好奇心をそそられます。そして、本作でPFF(ぴあフィルムフェスティバルで観客賞を受賞したと云うのですから驚きです。こりゃあ観てみなければなりますまい。

 そして本作は、関東地方では都内で只一館(ポレポレ東中野)だけで公開されました、一週間限定、一日一回だけの上映です。しかし、夜9時からのレイトショーだったので、仕事を終えてから駆けつける事ができます。そこで9月初めの或る日、電車を乗り継いで夜の映画館に駆けつけたのでした。ところが、びっくり。ホールには人が溢れ、その時点で立見席を含めて全席売り切れだったのです。

 「え~っ?!! 」

 びっくり。チケット売り切れなんて『カメラを止めるな!』以来です。その日以降、劇場から発せられる情報によると連日早々と売り切れが続きました。ネット予約できない映画館なので、仕事の有る身としては諦めざるを得ません。一方で、本作を観た人々からは熱い共感の声が寄せられています。こりゃあ、ますます観たい~。でも、これだけ評判だとなると、上映の延長、或いは再上映がある筈です。と思っていたら案の定、2週間後にアンコール上映が始まりました。そこで、今回は腹を括って早い時間にチケットを入手して上映に臨みました。僕が観た日も館内は満席でした。

 そこで作品は、やはり予想したようなこじらせ女子高生のウガァ~ッと言う映画で、表現の方法にも若さや新しさを感じる事は出来ました。しかし、「表現の方法」に新鮮さはあっても、それより大切な「表現している物」自体が何だかぎこちなく感じました。例えば、

 「えっ? それで人を好きになるの?」
 「えっ? 今度はそれで冷めちゃうの?」

が、どうもしっくり来ないのです。ネット上に溢れる本作への絶賛の熱を感じる事が僕にはできませんでした。若い人々の思いに共感できないのは鈍感なジイサンの証みたいで恥ずかしいのですが、仕方ありません。

 でも、そんな思いが一変する出来事がありました。この日は、監督舞台挨拶が上映後にあったのですが、登壇した山中監督を見て驚きました。

 「若い~!(当然か)、可愛い~っ!、そして無茶苦茶声が小さい~!」

エネルギーのほとばしりが普段から感じられる方かと想像していたのですが、ご自身が引っ込み思案な女優さんと言う風に見えたのです。

La Strada