「“ 刀 ” という暴力装置」斬、 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
“ 刀 ” という暴力装置
確かに、ナニかを守るために振るう刀もあるのでしょう。
本来刀とは、ヒトを殺傷たらしめる装置以外の
ナニモノでもないということが、
本作『 斬、』を観て改めて思い知りました…
正義の名のもとに処断を下すのも、また “力”
力無き正義などあり得ない…
「剣は凶器 、剣術は殺人術。
どんな綺麗事やお題目を口にしてもそれが真実…」
…と、漫画『るろうに剣心』を思い出したのは、
わたしだけでしょうか?
時代を創るのは「刀」ではなく、それを扱う「人」であると語った
『るろうに剣心』の主人公は〈弱きを守り、強きを挫く〉
一種の【ヒロイズム】を提示している作品だと思いますが…
本作『 斬、』ではそういったヒロイズムをいっさい廃し
ただ、ただ、噴出する暴力装置としての“刀”という
位置付けで表現していたのが印象的でした。
池松壮亮さん演じる都築杢之進の、
斬るべきか斬らざるべきかの葛藤…
塚本晋也 監督自身が演じる剣豪・澤村の
ためらいの無い、他者への斬撃!
そのふたりの一線を超える基準は
一体なんだったんでしょうか?
勧善懲悪の時代劇も好きですが、
少しモヤッとする終わり方も、
余韻が残り作品の奥行きが増してく感じ…
たまりません!
ですが、わたしには少々難易度が高かったことを隠せない
作品でしたので、もう少し時間をおいて
再度視聴したいと思います。
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